小説 | ナノ


▽ 17


 帰ってから、俺は急いで薬の配合の見直しに入った。本来の巣立ちの時からだいぶ経っていることを考えると、もうあまり時間は残されていなかった。俺が部屋にこもっている間、トレイズとライゼが協力して家事を代わってくれていた。
 書きなぐった数式と、にらみ合いを続ける日々。それがようやく終わりを告げたのは、二週間後のことだった。ふわふわした手つきで薬を作り上げたときのことを、実は俺はよく覚えていない。ただ、ライゼが頑張ったねと背中を叩いてくれた、その感触ばかり覚えている。
 そこで限界が来た俺はそのままスイッチが切れたように眠りに落ちた。それから丸一日、俺が目を覚ますことはなかった。

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