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それからというもの、キセキは僕に気づくこともなく、もう1ヶ月がたとうとしていた。
よかった。
多分これからもキセキに見つかることなく、平和に卒業まで過ごせるだろう。
よかった。
よかった。
そう思ってる。
そう思ってるはずなのに、なんでだろう?
何でこんなに胸が苦しいのだろう?
「寂しくなんてない。そんなはずない…」
僕は自分にそう言い聞かせた。
僕はバカだ。
この気持ちに蓋をして、気づかない振りをして。
本当は気づいてるくせに、
わかってるくせに、
僕はまだ認めたくないんだ。
僕は弱い人間だって、
わかってるけど、
認めたくない。
人間は、変なプライドばっか持ってる生き物だ。
認めてしまえばいいのに。
認めてしまえば、苦しくないのに…。
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