それからというもの

僕は得意のミスディレクションを駆使してキセキの世代から逃げ回っていた。

といっても、それはかなり平和な物だった。


キセキと多々すれ違うことはあったが、キセキは全く僕の存在には気づかなかった。

見つかるかもしれない、なんてドキドキして馬鹿みたいだ。


見つけられる訳ない。

だって僕は、


「イラナイものとなってしまった…」


そこまで言って、黒子は考えるのをやめた。







それからというもの、僕は至って普通な生活をしていた。

基本的に誰にも気づかれず、1人で過ごしていた。


気の抜けた生活。
読書だけでは埋められない余った時間。

こう考えると、自分がどれだけバスケに浸かっていたかがわかる。


だから暇なときはバスケコートのある公園で、若者達が楽しそうにバスケをする様子を見ていたりした。

ぼーとみて、時間になったら帰る。


最近はその繰り返しだ。


でも黒子は気づいていなかった。

ぼーっと、でもどこか眩しそうにバスケコートを見ている黒子を、見ている人がいたなんて。





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