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※シリーズについて補足※

プール(続)【マダオ三蔵シリーズ】2014/8
2014/08/30 06:09

「やっぱり嫌だ。」
「何言ってんだよ三蔵ここまで来て!いーからさっさと選べよなー」

色とりどりの水着が並べられている、スポーツ用品売り場の一角。
三蔵は早くも水着を選ぶことを放棄しようとしている。明らかに引き腰だ。更に足は出口の方へと向いている。
対して悟空は、そんな三蔵を窘めつつ右の列から順番に一枚ずつ一定のタイミングで水着を見て行った。
先日、三蔵が折れて了承したプールデート。いざ出発、まで来たところで三蔵が徐に口を開いたのだ。
「水着なんて持ってねぇ。」
悟空は悟空で自分用の水着一枚しかなく、仕方なくプールの前に水着を調達しようとここに三蔵を引っ張ってきた。
ちなみにレンタル水着

「なーさんぞ、これは?」

手に掲げた水着を三蔵に見せると、思いっきりしかめっ面になった。
…気に入らないんだな。
悟空は何も言わずに元の場所にそれを返した。カチャリ、とプラスチックと金属の触れ合う音が辺りに響く。

「とんなのがいいんだよ…あ、これとか?」
「真剣に選べねぇなら俺は帰るぞ」

悟空の差し出した全く別の水着を見て、三蔵は更に眉間のシワを深くする。
元々行きたくないプールのために、何故わざわざ水着まで選ばなければいけないのだ。そんな表情を浮かべて舌打ちをしている。三蔵はこういう時は何を考えているのか非常に分かりやすい。

「なぁ、三蔵の水着なのに何で俺が真剣に選ばなきゃいけねぇの?」
「てめぇが行きたいっつってんだからだよ」
「いーよ、別に俺は。三蔵に嫌々ついてきてもらわなくても焔と行くから。」

ぐ、と三蔵は言葉に詰まる。そこを悟空は更に追撃する。

「焔ってばさー、一回断ったら、プールじゃなくて海に行こうっつってモルディブ行きの航空券くれたんだけど…」
「…これにする。買ったら行くぞ、プール」
「おう!」

一番近くにあった水着を悟空に渡すと、スタスタと歩き出した。
その後、柄にもなくプールで全力で泳いだ三蔵は、背を真っ赤に焼いて痛みにのたうち回る羽目になった。

2014/8



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