「だったら、私・・・神様になる。神様になって大切なこの世界を、大切な人達を守りたい!」
双獅を真っ直ぐに見つめて水城はそう言った。
正直、急にこんな話をされて混乱している。
だが、美雨や奈海、両親がいるこの世界を守りたい。
不安や恐怖はあったが、それを跳ね除けるほど、親友や両親の存在は大きかった。
双獅は水城の言葉を聞いて、フワリと微笑んだ。
「あなたの決意、確かに見せてもらいました」
スッと水城の頬に手を伸ばし、優しく涙を拭う。
そして水城に静かに膝まずいた。
「これより、私は水城様にお仕えいたします」
「えっ・・・あ、えと・・・」
急にそんなこと言われても・・・と、水城が思っていると、
「大丈夫です。水城様がわからないことは私達が何でもいたします。ご安心ください」
また、心を読まれてしまった。
「あ、あの、とりあえず、普通に座ってくれませんか?」
水城がそうお願いをすると、双獅は一歩下がって、その場に正座した。
「えっと・・・じゃあ、さっそくわからないことがあるんですけど・・・」
「私に答えられる範囲でなら、お答えします」
「何で、双獅さんは私の心が読めるんですか?」
水城は双獅の前にチョコンと座り、そう聞いた。
「それは私と水城様が繋がっているからです」
「・・・あの、それはつまり?」
よく意味がわからないと、水城は双獅に問い返す。
「私と水城様は強い絆で結ばれています。心で会話ができるのです」
「あの、双獅さんとはさっき会ったばかりですよね。そんな短時間でそれほど強い絆が・・・?」
私はずっと昔からあなた様を知っています。
そう言いたかった。
だが、それは神になった者に許されることではない。
「・・・そういうことでしょう。きっと」
双獅にうまくはぐらかされた気がするが、それよりも気になることがあったので、そちらを最優先した。
「でも私、双獅さんの心、読めませんけど?」
「それはまだ私と水城様の心が深く繋がっていないからです。これから生活を共にしていけば、いずれ心で会話が出来るようになります。ですので、手始めに、私のことは双獅とお呼びください。それと、敬語も外して下さって結構です」
「あ、はい・・・じゃなくて、うん。あともう二つ気になることがあるんだけど・・・。まず、一つ目。何で神様になるのは私なの?父さんや母さんとは何が違うの?」
双獅にそう問うと、双獅は迷うことなくスラスラと答えてくれた。
「神代家の中で霊力を持って生まれてくる者とそうでない者がいます。水鈴様や水城様は霊力を持っておいでなのです。特に水城様はとても大きな霊力をお持ちなのですよ」
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