15 年齢は秘密企業で


「ちょ、ちょっと、双獅!」

水城が焦って双獅に声をかけると、双獅が爽やかな笑顔でこちらを向く。

「はい?どうかさせましたか?」

そして、何事もなかったかのように、水城に向かってそう問う。

「・・・そろそろ止めないと、鷹明さんが・・・」

水城の困ったような声に、双獅は一瞬考え込む。

だが、水城の言うことなので、従うことにした。

足を鷹明からどける。

「いってー・・・お前、やりすぎだって・・・」

鷹明が服の土を払いながら立ち上がった。

それから、思い出したように水城を見る。

「あぁ、それと姫さん。俺とはタメでいいから。姫さん今十六歳だろ?俺、十七歳の設定だから」

設定ってなに!?

そう言いたかったが、鷹明が話はじめたため、聞き損ねた。

「ちなみに、双獅が二十三歳で、鹿衣が十五歳、里狐が二十歳、拓蛇が・・・年齢不詳だ」

「いやですね、鷹明。私の年齢は企業秘密ですよ?まぁ、二十七歳とでも言っておきましょうか」

年齢不詳とされた本人はあくまで笑顔を崩さない。

「企業秘密ってなんだよ・・」

「フフ・・・企業秘密は企業秘密ですよ」

「・・・やっぱ俺、アンタが一番怖ぇわ」

鷹明がそう言った瞬間、双獅の目が鋭く光った気がした。

いや、実際には光っていたのだろうが。

「私よりも拓蛇の方が怖いんですか。では、あなたのその数々のトラウマの中に今日、もう一つ追加してあげましょう」

「ちょっと待て」

じりじりと鷹明に詰め寄る双獅。

引きつった顔で双獅が近づいてきた分だけ下がる鷹明。

「うわっ!!」

後ろも見ずに下がっていた鷹明が石に躓いてこけた。

その瞬間、双獅が鷹明に襲い掛かる。






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