「止めろー!!俺のトラウマは全部お前だろうが!!・・・いだだ!止めろって!」
先ほどと同じく、踏まれながらも抵抗する鷹明。
「ひ、姫さん!たすけ・・・ぐはっ!」
「他人に助けを求めるなんて・・・まるで子供ですね」
「・・・姫様、先に帰ろっか。僕、早くここから離れたい・・・」
鹿衣がうんざりした表情で水城の服の裾を引っ張った。
「え、でも、二人を止めないと・・・」
「大丈夫ですよ。双獅も本気では怒っていませんから」
拓蛇にそう言われると、妙に納得してしまう。
それまでずっと黙って事を見ていた里狐さえも、帰ろうと言い出した。
「ああなってしまったら、しばらくは続くだろう。鷹明も死ぬことはない。大丈夫だ」
三人に背中を押され、後ろ髪を引かれる思いで、家へと戻ることにした。
「助けてくれー!うわああぁぁ・・・!!」
・・・この叫び声は聞かなかったことにして。
「ところで、拓蛇さん達はどこに住んでるんですか?」
家に帰る途中、ふと思ったことを拓蛇に尋ねてみた。
すると、
「どこだと思います?」
と、整った顔で意地悪そうに微笑まれ、水城は顔を赤くしてしまった。
双獅もそうだが、歩きながら色気を振りまかないでほしい、と思う。
座っていればいいのか、というわけでもないが、常に色気を撒かれると、どう反応して良いか困る。
しばらく考えた後、思いつきません、と返した。
「私達は森の動物の保護も頼まれていますから、普段は先ほどの森で過ごしているんです」
「森の動物の保護?」
「そうだよ。動物な中にも姫様みたいに、高い霊力を持ってるのがたまにいるんだ。その動物を妖から守るために結界を張ってるの」
「・・・弱い妖は結界の中に入ってこれないが、もしも強い妖が入ってきたら動物達だけでは対処でない。だからそのことに備えて俺達は森で過ごしている」
三人に交互に説明され、納得した。
拓蛇達は守護精という仕事以外にも色々と仕事をしているらしい。
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