16 トラウマ追加決定


「止めろー!!俺のトラウマは全部お前だろうが!!・・・いだだ!止めろって!」

先ほどと同じく、踏まれながらも抵抗する鷹明。

「ひ、姫さん!たすけ・・・ぐはっ!」

「他人に助けを求めるなんて・・・まるで子供ですね」

「・・・姫様、先に帰ろっか。僕、早くここから離れたい・・・」

鹿衣がうんざりした表情で水城の服の裾を引っ張った。

「え、でも、二人を止めないと・・・」

「大丈夫ですよ。双獅も本気では怒っていませんから」

拓蛇にそう言われると、妙に納得してしまう。

それまでずっと黙って事を見ていた里狐さえも、帰ろうと言い出した。

「ああなってしまったら、しばらくは続くだろう。鷹明も死ぬことはない。大丈夫だ」

三人に背中を押され、後ろ髪を引かれる思いで、家へと戻ることにした。

「助けてくれー!うわああぁぁ・・・!!」

・・・この叫び声は聞かなかったことにして。



「ところで、拓蛇さん達はどこに住んでるんですか?」

家に帰る途中、ふと思ったことを拓蛇に尋ねてみた。

すると、

「どこだと思います?」

と、整った顔で意地悪そうに微笑まれ、水城は顔を赤くしてしまった。

双獅もそうだが、歩きながら色気を振りまかないでほしい、と思う。

座っていればいいのか、というわけでもないが、常に色気を撒かれると、どう反応して良いか困る。

しばらく考えた後、思いつきません、と返した。

「私達は森の動物の保護も頼まれていますから、普段は先ほどの森で過ごしているんです」

「森の動物の保護?」

「そうだよ。動物な中にも姫様みたいに、高い霊力を持ってるのがたまにいるんだ。その動物を妖から守るために結界を張ってるの」

「・・・弱い妖は結界の中に入ってこれないが、もしも強い妖が入ってきたら動物達だけでは対処でない。だからそのことに備えて俺達は森で過ごしている」

三人に交互に説明され、納得した。

拓蛇達は守護精という仕事以外にも色々と仕事をしているらしい。







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