「いつの間にか戦ってるし・・・」
双獅と鷹明がお互いに殴り合っているが、周りはもう慣れているのか、誰も止めようとしない。
水城が止めようか、と迷っていると一人の女の子が近寄ってきた。
「姫様っ!えへへ、はじめまして!鹿衣(かい)です!」
にっこりと笑うその子に、水城は笑顔を返す。
「よろしくね、鹿衣ちゃん」
そう言うと、その子は笑顔を曇らせた。
「あ・・・姫様、僕、男だよ?」
「・・・え?」
そう言われて、改めて鹿衣をじっくりと見る。
髪は毛先の方だけフワフワとしていて、ピンクと茶色の混じった色が可愛らしさをかもし出している。
顔は文句の付けようがないほど、可愛い。
目もパッチリ二重で、唇は薄くも厚くもなく、形がよくて・・・
見れば見るほど女の子に見えてくる。
「えっと・・・じゃぁ、鹿衣君?」
「うん!よろしくね、姫様!!」
花が咲くような笑顔を見ると、やっぱり女の子にしか思えない。
でも男の子らしい雰囲気もあって・・・
よくわからない。
「姫様?」
「えっ・・・あ、ごめん。少し考え事、してたから」
「うん。別にそれは良いんだけど・・・そろそろあそこ、止めないと鷹明、死んじゃうよ?」
鹿衣が指差す方向に目をやる。
「いだだだだ!!ちょっ・・・まっ・・・いでっ!!痛い!ホントちょっとまっ、あ゛あ゛いだだだだだ!!」
そこには一方的に鷹明を踏みつけている双獅がいた。
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