12 守護精一の美人さん



『ここに誓いましょう。我ら守護精は水城様が我らを不必要となさるまで、水城様を主と
し、この命に代えてもお守りいたします』


その声を引き金とした様に、瞬く間に前の影が人型に変化した。

そして、五人の真ん中に双獅がいた。

(双獅も守護精だったんだ・・・)

五人は水城を見つめ、水城の言葉を静かに待った。

「あ・・・えっと・・・」

何を話すべきか迷っていると、双獅と目が合った。

―そんなにかしこまらなくても、あなたが話したいと思ったことを話せばいいんですよ―
そう優しく背中を押された気がした。

双獅に勇気付けられ、改めて五人を見る。

「はじめまして。神代 水城です。これからお世話になります」

そう言って頭を下げた。

顔を上げると、そこには五人の笑顔があった。

「では、我々も自己紹介、しましょうか。まずは私から」

一番右側にいた女性と見間違うような男性が一歩、水城へと歩み寄る。

「私は拓蛇(たくみ)といいます。守護精の中では一番の年長者ですね。これから、よろしくお願いします。水城さん」

そう言って優しく微笑みながら、右手を差し出す拓蛇。

「あ、よ、よろしくお願いします!」

さっき頭の中に響いていた声だ、と考えていたら、右手が差し出されたのに気付くのが遅くなってしまった。

拓蛇の優しい笑顔と、気付くのが遅くなってしまったことに、頬を赤く染めながら、しっかりと拓蛇の手を握り返した。

拓蛇が水城の手を離し、スッと下がる。

その時、拓蛇の肩にかかっていた長い髪がサラッ・・・と、微かな音を立てて流れ落ちた。

拓蛇は他の四人よりと比べると、髪がかなり長い。

緑に近い黒髪は腰の上まであり、前髪は右側に流している。

顔は整っていて、男の人にこんな言葉を使うのもおかしいと思うが・・・

カッコいい、というよりも、美人。

女の水城も見つめてしまうほどの美人。

声を聞いて、握手するまでよくわからなかった。

じっと拓蛇を観察していると、今度は拓蛇の右隣にいた人物が一歩、水城に近づいた。







前←→次


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -