■ ごめんもう笑えない。



俺は恋をしている。
小学校からずっと一緒にいた土方十四郎に――

その恋に気付いたのは中学の始め。
その時は髪色とかこの赤い瞳とかでイジメを受けていた。
クラスのみんなが俺を無視するのに土方だけは優しく接してくれて
そういうところに惚れた。
土方が毎日話してくれるから友達なんていらないと思ってた。
だけど土方の姿を見て声をかけてくれる子達が増えた。
友達なんていらないなんて思ってた自分が嘘みたいに友達が欲しくなった。
それから毎日クラスの子に挨拶をした。
声を掛けた。 そうしたらみんな話しかけてくれるようになって
これも全部土方のおかげだなって。

本当にどうしようもなく好きで、
中学3年の春、彼女ができた土方だったが俺があまりにベタベタだったため
彼女と別れてしまった。
彼女は俺を無視しろだとか言ってたみたいだけど、
土方は「銀時を無視するなんてできねえ。銀時がいやなら別れよう。」
そう言ってくれたんだ。
俺は特別。
俺は特別。

俺は...土方の特別―――



「ひーじーかーた。」

「銀時...」

「また煙草吸ってんの?こーそくいはん!」

「うっせえ。」

俺は土方に片思いをしたまま、高校生になった。
高校に来ると女たちも肉食系が増えて、顔がいい土方はモテモテだ。
だからこうして時たま、屋上に来てタバコを吸っている。
たばこを吸っていることを知ってるのは俺だけだ。

「土方はさ....その、好きなやつとかいねーの?」

「っは?」

会話がなくて思わず言ってしまった一言。
まさか、この一言が俺の人生を狂わせてしまうとは知らずに。


「いや、そういう話しなかったじゃん?だから..いんのかなぁって。」

「....まぁ...いる、っちゃいる。」

「っへ!?」

まさかいるとは思わず変な声が出る。
土方に好きな奴がいたなんて...

「中学の頃から、ずっと...好きでよ。」

中学の頃...?
中学の頃なんて俺がいじめられてたから
俺の世話ばっかりであんまり話してなかった気がする..
女苦手だし、土方。
え、て、ことは...
も、しかして...

――期待しても、いいのかな?

その好きな人は.....俺、って。


「そ、その好きな人ってさ.....も、しかして....」

相手に聞こえるんじゃないか!?ってくらい心臓がドキドキと音を鳴らす。
そっと胸に手を抑えて、きっと顔は真っ赤だろうからしたを向いて...


「おr「明穂 美月さん。」







――――え?







「俺の...その、好きなやつ。 明穂、美月...さん。
中学のころから一緒でさ、俺がバスケで派手に怪我したとき絆創膏くれたんだよ。
花柄の可愛いやつ....黒髪でタレ目でストレートロングで...清楚な感じでよ...」



ナニソレ。




「まぁ、銀時にはねーよな!そんな可愛らしいとこなんて。」


ケタケタ笑う土方。



でも、俺は...




「....そ、うだな...」



笑えない。



「相談とかこれから乗ってくれよ?お前、席前じゃん!」


やだよ、相談なんて...


「おう!任せろ!全力応援すっからよ!」

できないよ、応援なんて...

「噫、じゃあ俺そろそろ教室もどるな?」

君がスキ。 俺は、ずっとお前が...

「噫。先いってて。俺もう少ししたら行く。」

大好きなのに........

「わかった。 授業遅れんなよ。」

土方、

「はいよー」




ごめんもう笑えないよ。








――君の前じゃ。









****************

確かに恋だった

↑のお題サイトにて....


好きな人が違う人を好きだった時のそのショック度...
半端じゃないですよね。
自分で書き乍銀さんの気持ちになって泣きました(´;ω;`)。
またお題、やらせてもらおうと思っています。
お題、有難うございました。



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