■ 嘘つきな先生。


「坂田先生。」

日に日に増える大量の資料と分厚い本。
その中に白いもじゃもじゃの髪がちょっこり見える。

頭に乗っかっていた資料が落ちるのを無視して起き上がる男。

――坂田銀時。

白いモフモフしてそうな天パに、やる気が無さそうだが綺麗な赤い瞳。
ずり落ちた眼鏡に理科の教師でもねーくせに白衣。
入学当時から3年間ずっと俺はこいつに恋をしている。

俺も此奴も男なのに..と思ったし
何度も女と付き合ってみた。けど坂田以外にドキッとする人が見つからず、
やっぱり俺は坂田に恋しているとわかった。

今日は卒業2日前。
どうせ卒業したら会えなくなるんだ。ならもう告白してしまおう。
きっと卒業式は此奴寝てるし、終わったら忙しいだろうしな。

そういうわけで俺は今、国語準備室にいる。


「あれ...土方くんじゃない。どうしたんだよ。先生はいろいろ忙しいんだけど、」

「まぁ確かに忙しそうですけど、さっき寝てましたよね。」

「寝てない。ちょっと可愛い女の子と夢の世界に行って来ただけ。」

「寝てるんじゃないですか。」


くすくすと笑い坂田を見る。
面倒臭そうに頭を掻き乍俺を見上げて来て、
「何?」
という。
上目っぽくて誘ってんのかコラァ!ってなる。←


「俺、先生に言いたいことがあってきたんだよ。」

「何?告白か?」

冗談気に笑いながら立ち上がり、珈琲を入れる坂田。

「噫、そうだよ」

相手に聞こえるくらいはっきり告げる。

坂田は目を見開いて此方を見る。

「は?」

「告白。  俺、1年の時から坂田先生が好きだったんだ。付き合ってくれねーか。」

玉砕決定。
めっちゃ困った顔してる。

細い銀色の眉を八の字に曲げ、綺麗な赤い瞳が困惑を示している。

でも少し頬を赤く染めて目線を逸らす坂田が愛おしく思う。

一度目を伏せ、再度開けて此方を見ると、



――教師の目をしていた。

「馬鹿言ってんじゃねーぞ。 俺は教師だ。
俺とお前が教師と生徒である限り、付き合うことなんてできるわけねーだろ。
大人をからかうのもいい加減にしろ。 早く帰れ!!」

少し怒ったように言う坂田。
チクッと胸が痛く感じた。

「...わかった。じゃー、先生さようなら。」

「...さようなら。」

通り過ぎ様、坂田の顔が悲しそうに見えたのは、
きっと気のせい。




**************


「これにて、終業式を終わります。
卒業生はこのあと話がありますので、クラスへ一度戻り、
30分後、体育館に集合してください。それでは退場。」

あれから2日。
坂田とは全く話をしないまま、俺は卒業を迎えてしまった。
廊下で坂田と合うと謝ろうと思うがどうも口が開かず通り過ぎる。

俺は学級委員の為、坂田とよく話していたが、今では副学級長に話している。
告白以来、避けられている。
避けられるなんて百も承知であった。が、本当にそうなると胸が痛い。


だが、今日で卒業。
そんな気持ちもすぐ晴れるであろう。

クラスに帰っている途中、放送が流れた。

『えー、3年Z組、土方十四郎。3年Z組、土方十四郎。
担任から話があります、至急国語準備室に来てください。』


その声は坂田の声で
まさか呼び出しを喰らうなんて思わずポカンとする。
しかし、至急と言われ慌てて国語準備室に向かう。

なんでもいい、話がしたかった。


国語準備室の前にたち、呼吸を整えればドアをノックする。

「どうぞ。」

中から坂田の声が聞こえ、「失礼します」と呟き乍ドアを開いた。


「久しぶりっつーほどでもねーけど。久しぶり。」

「久しぶりです。  用事ってなんすか?」

普通に話したいのに、何故か声のトーンが低くなってしまう。
いつも大人ぶっている坂田がちょっと身を竦めて俺を見る。

いきなり詰め寄ってきたと思ったらぎゅううっと抱きついてくる。

「っは?」


思わず拍子ぬけた声が出る。


「土方...スキ。」


「え?え?は?」

いきなり坂田に告白された。
わっつ?
どういうことだ?


「この間の告白..嬉しかった。
あんときは、俺と御前は教師と生徒だったろ?だからあんなこというしかなかった。」

切なそうに呟く坂田をゆっくりと抱きしめる。

「だけど、本当は俺も土方が好きだった。
俺の片思いだとずっと思ってた...両想いだってしって嬉しかった!!
だけど、俺とお前は教師と生徒だったから....本当御免。」

「本当か?坂田も本当に俺のこと...からかってるんじゃないのか?」

確かにあの時、坂田は教師の目をしていた。

「本当....俺は土方がスキ。....あの時の告白..期限もう切れちゃった?」

いつもは大人っぽく、だらしがなく、だめだめな男の癖に...
甘えるとこんなに可愛いなんて聞いてねえぞ!←
告白の期限が切れた?

んなわけあるか!! まだまだ賞味期限切れしてませェェェん!!

「いや、全然。――もう離さねぇから」

「うん...大好き、土方。」


俺たちは、国語準備室だということをすっかり忘れて

唇を重ねた。






**********


ふー、なんか急すぎ展開ワロタ\(^ω^)/
なんかギャグっぽく..でも甘く作りたかったのさ☆



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