「かっなちーん!」

 がばりと後ろから巻きつかれたけど、慌てず焦らず。
 ずるずる引き摺って廊下を歩き続ける。
 
「提出してったよーぅ」
「あんがと」

 基にお使いを頼んでたんですよね。
 LHRで決まった文化祭の出し物の内容を書いた紙を生徒会に出しに行ってもらってた。
 
 本当なら生徒会のメンズを間近に見たいから私が行きたかったんだけどね。
 だけど敢えて受け属性の基を行かせる事によって、美形(攻め)と接点を持たせるっていう、そういう計画さ!
 
 間違ってもLHRの後、稔にこってり説教されてて自分で出しに行けなかったとか、そんなんじゃないんだからね!
 
「あ、かなちゃん見て見て。ヤンキーくん」
「ほんとだぁ! なんか久々に見るなぁ」

 廊下の少し前を見覚えのある金髪が歩いていた。
 
 そこはかとく夏休みの間に背丈が伸びちゃって。成長期真っ只中じゃなーい。
 微笑ましいねぇとか、近所の子供の成長を見守るおばちゃんみたいな会話を基としていたら「高盛!」と彼を呼ぶ声が聞こえてきて。
 
 何とはなしにそちらを向けば。
 
 小柄な男の子が高盛くんの元へと駆け寄って行った。
 短い黒髪で、一瞬しか見えなかったけど特に特徴もない感じの普通の子。平凡っていうのかな。
 
「見た目だけだと対照的な二人だねぇ」
「高盛くんの中身を知ってるから意外な感じはしないけどね」

 そう、知らない人が見たのなら。
 彼らはあたかもヤンキー×平凡。
 しかも黒髪の子の方は見るからに大人しそうな。
 
 自分で思って、何か引っかかりを感じた。
 
「高盛くんってBクラスなんだね」
「B? ああ本当だ」

 二人がするりと入って行った教室。
 
 そうか、依澄と同じクラスか。
 
 …………。
 
「そういう事かぁぁぁっ!!」

 崩れ落ちました。
 ずっと私の首に纏わりついていた基も崩れ落ちました。
 
 廊下の隅っちょで膝をついて項垂れる私と、尻餅ついてる基。
 
 ああ畜生騙された気分だぜ。
 バラバラだったピースがすべて当てはまったこの感覚。
 
 そうか内海くんが言ってた不良×ビビリ平凡ってこの二人だったのか!
 
 確かにね、確かに見ようによっては見えなくもない、かもしれない気もしたりしなかったり。
 
 いやでも違うんだ。まず高盛くんは不良かと言われたら生真面目で一直線キャラだし。
 もう一人の子も確かに平凡だけれども、ビビってるかって言われたら高盛くんに関してはめちゃくちゃフレンドリーだったし。
 
 むしろ小柄な男の子同士、にゃんこ達がじゃれ合ってるようにしか見えないっていうか。
 
 なにこの胸に過るもやもや感!!
 
 本当見て大納得の一品です。
 
 


|


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -