「太陽さんさーん、爽やかニクいー」
「それ言うなら2組でしょぉ?」
「爽やかなのは3組だろうが」

 はい、かたミー正解!
 さすがテレビっ子だね!
 
 ちなみにウチの学校のクラスはアルファベットだよ。
 
「9月に入っても憎々しいほどの直射日光に思わず毒づいちゃった」
「しかもこんな中グランドで体育とかありえくねぇ?」
「僕は熱中症になる前に先手を打って休もうかとか画策してるはじメンを先生に売ろうと思ってるよー」
「容赦無さすぎるぜトッキ―!」

 全くだよ! 人を困らせるためなら悪魔にでも身を売りかねない勢いだわ。
 
 主人公の親友としてずっと傍で一緒に闘ってきてたのに、最後の最後で敵に寝返るキャラだわ。
 しかも理由が強くなった主人公と闘ってみたかったからとかそんな理由。
 
 しかも今日はまた合同体育。
 何気に多いんだ。絶対先生が楽したいだけだと思うんだ。
 「じゃあまぁ適当になー」とか言ってさっさと校舎に消えてくんだもん。
 
 でも今回はちょっくら楽しい予感です。
 
 
「ねー依澄ー」
「ねー」

 何の前置きなく突然同意を求めたというのに、疑問も抱かず賛同してくれる依澄。
 その優しさが私は怖いよ! 変態さんなんかの相手はしちゃだめなんだからね!?
 
 というわけで、合同体育のもう1クラスは依澄のクラスだったのです。
 
 準備体操も終わって、各自体育祭に出る競技の練習をする事になった。
 
 偶然にも私と依澄は同じ100m走。
 はい、この時点で私は勝負を諦めました。
 
 こんなぽややんでも、依澄は運動神経が抜群に良かったりするんだ。
 ただバスケとかバレーとかになると、途端に輪を乱すので活躍するのはもっぱら陸上競技なんだけれども。
 どうもルールが多くチームワークが必要なのは苦手らしい。
 
 走るだけ、とか跳ぶだけってのが性に合ってるみたい。
 
「あ、内海くんだ」

 既に木陰で座り込んでる!
 気分が悪いとかじゃなくて「あーダリー」ってオーラが全身から出てるよあの子。
 
「内海くんは身体動かすの苦手って言ってたからねぇ」

 軽くストレッチをする依澄も内海君を見ていた。
 
 そういや委員長も同じような事言ってたなぁ。
 やれやれ、期待を裏切らないインテリ眼鏡’Sだぜ。
 
「ねぇカナ。走り合いっこしようよ」

 なんだ、走り合いっこって!?
 いちいち可愛らしいなぁウチの幼馴染さんは。
 
 OK、OK! と適当にスタートラインに立つ。

「じゃあ依澄本気で走ってね。位置について、よーいどーん!」

 私が全然位置についてないというのに、依澄は合図に合わせて走り出した。
 
 ファウン――
 
 と、F1レースのドップラー効果のような音がした気がする。
 風圧で私飛ばされるかと思った。
 そんな速さでした。
 
 あ、私がいないのに気付いた。きょろきょろしてる。
 お、そのままのスピードで戻ってきた。
 
「お疲れいすみーん」
「カナいないからコケたのかと思った!」
「ごめんごめん、久々に依澄の本気走りちゃんと見たかったから」
「走り合いっこするって言ったのに」

 むぅって口を尖らせるとか!
 
 おま、私を萌え殺したいのか!
 
 
 普段温厚な分、一度へそを曲げると宥めるのに時間がかかる依澄の機嫌取りに後の時間を費やす事になりそう。
 
 


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