「痛っ! もーちょっと委員長ーやーめーてーよー。人間には言葉という尊いコミュニケーション手段があるんだから、ちゃんとそれ使おうよー」
「ちなみに、じゃあ堂島は何て言われたらその無駄行動やめるんだ」
「ん?」

 へ? 何その返し予想外なんですけど。
 
 うんそうだね。「実は俺、隣のクラスの誰それと付き合ってんだ。あいつの事超愛してる……!」とかカミングアウトしてくれたら、一生ついてく。
 黙って三歩後ろから密着取材して回る。
 
 だけど大丈夫、思ってても切望してても言わない。私の自重スキル馬鹿にしちゃいけないよ。
 
 いやでもマジで何て言われたら……。
 だって私からおバカ行動取ったら何が残るの? ピンクのもやもや妄想だけだよ?
 
 どうしようどうしよう、え、答えが思い浮かばない。ちょちょちょ、ええぇーあ、え?
 暫く黙ってたら流れるかなって思ったのに何時までも委員長待ってんだけど。
 うーうーうー
 
「せ、セキセイいんちょ(委員長)アルカリ性!」

 しぃん――……
 
 教室中が静寂に包まれました。
 みんなのきょとん顔が居た堪れない!!
 
 はは、私何言ってんのぉー!?
 もう我慢しきれず教卓の中に隠れるっつーのね。
 
 テンパると人って思いもよらない言動を取るって本当なんだって身をもって体験しちゃった。
 身体中嫌な汗だらだらだよ。
 
「ちなみに……セイセキ実る(稔)にサンセイ」

 セイセキは成績だよ! なぁんて、ね。
 もうヤケだ。思いついた事全部ぶちまけてやる!! 隠れたままで!
 
「てっめぇ火傷に塩塗るような事言い逃げすんじゃねぇよ!! こっちまで事故ったみたいだろうが!!」

 稔のヤジなんて聞こえないもん! 知らないんだもん!
 
 耳を手で塞いであわあわしてたら、筧くんがしゃがみ込んで私を覗いてきた。
 
「これに懲りたら大人しくしてような」

 まさかここまで全て計算ずく!?
 緻密にして綿密に考え抜かれた犯行だったとは……。
 
 しかし、これしきの事で挫ける私ではないのだよ。
 考えが甘かったな委員長!
 だがそのインテリ眼鏡だけは評価してやっても良い!!
 
 
 


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