▼5 かっかっかっかっ 規則的にチョークを鳴らしながら黒板に文字を書いてゆく。 黒板って言いつつ深緑色だよね。 だんだん手を上げるのが怠くなってきて、列を増すごとに見事な左肩下がり。 しかもチョークの粉が服やら手やらについて苛々する。 今はLHR中。ろんぐほーむるーむなう。 体育祭の競技出場者決めと、文化祭の出し物決めです。 体育祭の方は粗方決定いたしましたが、問題は文化祭の方。 何がしたいか一から考えなきゃならないからなかなか前に進みません。 今出てる案が 愛しちゃうぞキャンディー ダイナミック☆盆踊り お喋り茶房@無言 いけない! 毒りんご物語〜白雪は二度殺される〜 ぞんぞんゾンビと愉快な仲間達 どれ一つとして、この題だけ見ても何の出し物するのか見当がつかないっていう。 決めようがないっていう。 これ無記名でクラス全員の子に案を出してもらったやつの中から私と筧くんで厳選した5つなんですが。 選び抜いたのがこれかよって言われそうですが。 それ以前に全部筆跡が違ってたから、別人の案ばっかだと思うのね。 このクラスの人達の脳内どうなってんの!? 打ち合わせなんてしてないだろうに、みんなノリが一緒過ぎて恐怖すら覚えたよ!! 今のところ有力なのは、お喋り茶房と毒りんごです。 「ていうか毒りんごはこれ、劇だろ? これ提案したヤツちゃんとシナリオ考えてんのか?」 クラス中をぐるりと見渡した筧くんは、誰とも視線が合わない事に溜め息を吐いた。 「……で、誰もこの題に合う話作れるヤツいないんだろ?」 「つまり無言一択って事だね」 お喋り茶房を赤いチョークでぐるぐると囲んだ。 ついでに背伸びして円の上に目書いて、中塗りつぶして。 小学生のとき、誤字塗りつぶしてミノムシーとかやったよねー。 ペチン! 後ろから無言で筧くんに頭叩かれました。 前 | 次 戻 |