「ミノリなんて……ミノリなんて!」
「誰だよミノリ!?」

 みのるんの最終進化形です。
 進化し過ぎて別人と成り果てます。
 
「そんなこんなでね、よっぽどの事がない限り平気なんだって。変に構えると不審がられるし」
「………」

 ふうぅ、とわざとらしく溜め息。
 何だかまだ納得して無さそうだけど。
 
「稔。自由の無い高校生活なんて炭酸の抜けたカルピスソーダみたいなもんだよ」
「美味いだろそれ」
「ですよねー」

 普通のカルピスって事ですからね。
 私は牛乳で割っても好きだよ。ちょっとドロッと感があるのもよし。
 あの喉に引っかかるのも一興。
 
「まぁ、自分んちに俺を長期滞在させるようなヤツに何言っても無駄だな」
「うおぅ善意からの申し出だったのに何故か本人から批判されてしまった!」

 自分だって寝床確保出来て助かったくせに!
 バシバシとテーブルを叩いて抗議。
 
 やめなさい、と腕を掴まれた。
 それでもぶすくれてると、稔が息を吐き出すように笑った。
 
 私の腕を机の上に戻すと、ぽんぽんと慰めるように二度優しく叩く。

「一学期はそのスタンスで乗り切ったんだし大丈夫なんだろうけど、あんま俺が焦るような事はやめてくれ」
「みのきゅん……」
「あぁ!?」
 
 ひぃっ! 不良も顔負けなガンを飛ばされてしまいました。
 違うの、稔の男前セリフに胸きゅんした、を略しすぎてああなっちゃったの。
 
「ねみぃ、俺先寝るわ」
「う、うん……あ!」

 立ち上がった稔の手を思わず掴んだ。

「稔あのね、我が侭でごめん。私がフォローしてって言ったから心配してくれてるのに」

 それなのに自由がないとか、馬鹿とか果てはカルピスだとかドロリッチだとか。
 言ったり言ってなかったりして。
 
 稔はただ夏休みにした私のお願いを親切に守ってくれている。
 文句を言う筋合いなんてないって分かってるんだ。
 物凄くありがたいって思うし嬉しいよ。
 
 拙い言葉で必死に伝えたら
 
「当たり前だろうが」

 と、素っ気なく返事をしてそのまま寝室へと入ってしまった。
 
 だけどさっきまでの不機嫌さが無くなってて、ちょっとだけ笑ってたのが、ほんの一瞬だけど見えた。
 
 稔……
 
 
 ひゃっほーい! かたミンのお許しも出たし明日っからもりもり萌え盛ってやんぜ!
 



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