▼6 現在は放課後、またも体育祭と文化祭の集まりで居残りです。 今日は実行委員の三人も一緒。 「この学校のドSっぷり……マジパネェよ」 頬杖をついて呟くと、私の周りにいた委員長と時芽に基の三人がきょとんとした。 稔は頷いている。 幼馴染コンビは初等部から、筧くんは中等部からだからそこまでの違和感を感じないらしい。 だけど私と稔はここがどれだけ生徒に優しくないスケジュールを組んでいるか分かっている。 「体育祭と文化祭をセットでこなすっておかしい。何その強行軍」 一日目が体育祭で二日目が文化祭。三日目は代休、四日目は創立記念日。五日目からテスト週間。 何これ。 どう思うよこのスケジュール。ふざけてるとしか思えないよね。 二日でテスト対策しろって事ですか。 とんだドS校だわ。 これが普通だと思っている基達が信じられない。 「逆に言えば行事にあんま力入れてない証拠だ。多少手抜いても問題ない」 やる気ない、テンション低い私を見かねて筧くんが慰めてくれた。 さすが委員長。クラスメイトの味方だぜ。 集会が始まるまでダラダラと喋ってたら、視界の端にオーラを感じて教室の入り口に目を向けた。 「あ! 依澄!」 「あーカナだ」 ふわふわーっとしたオーラを私が見間違うはずが無い! 「依澄って実行委員だったの?」 「うんそうだよ、カナも?」 「うんにゃ、クラス委員だよ」 そっかー。なんてユルっとしたやり取りを交わしていると、依澄のすぐ後ろにもう一人の男の子が立っているのに気付いた。 依澄と同じクラスの子だろうか。 背は私と同じくらいで小柄、少し長めの黒髪にオシャレな黒縁眼鏡。 これぞ王道、みたいな。 BL小説だと彼のような外見こそが王道転校生として祭り上げられるような感じ。もっとぼさぼさで顔見えない感じの方がいいけど。 目が合うと「ども」と控えめな挨拶をくれたので、私もぺこりとお辞儀をした。 前 | 次 戻 |