▼秋の祭典スペシャル(上) 二学期。 或る者にとっては充実した日々を過ごせる時であり、また或る者にとっては苦痛の連続。 体育祭に文化祭と行事が度重なる学期だ。 その直後に容赦なくテストが入るのだから、休んでいる暇は殆んどない。 こういう行事って燃える人は無駄に燃えるよね。命掛けてるんじゃないかってくらい全力投球な人。 私は手は抜かないけど、適度に楽しめるくらい緩いのがいいなぁ。 しかし高校の二大祭は逃す手はない。 なんてったってフラグ立ちまくりイベントですから。 他学年との交流も盛んになり、ちょっとした事件なんかも起きちゃったり。 ほら体育倉庫に二人きりで閉じ込められちゃったよ、どうしようとか定番で鉄板だよね。 文化祭の準備中に資材の下敷きになりそうだったところを助けてもらってドキンとかね。 楽しみだ。テラ楽しみ。 HR中そんな思考(煩悩)の渦に浸っていた。 そしたら何時の間にか 「――何でじゃあぁー!!」 拳を握り締めたまま絶叫。 時芽が隣でけらっけら笑ってる。 「カナくん仕方ないよぅー、こんだけの人数がいてジャンケン総負けしたんだものー」 二学期が始まってすぐのHRのこの時間に、委員の割り当てを決めていた。 せいぜい委員会に入らなきゃいけないのは半数程度だ。 みんなやりたくない、やるにしても楽そうなのを選ぶ。 だから最後まで残ってしまった、面倒極まりないクラス委員は未だ何の委員にも当たっていない人の中からジャンケンで決めることになった。 そして、負けた……。 「だっておかしいよ! 最初はパーって! 普通グーでしょうが、動揺するでしょうが!」 え、え? パー? って戸惑ってる間にあれよあれよと後出し扱いにされ。 前 | 次 戻 |