「はっはっはー、これは他者の動揺を誘う作戦だったのさぁ」
「だからって友達をはめるな!」

 威張る基の首を絞める。
 何でみんなは普通にしてられるかな。無反応だったのに余計焦ったっつーの。
 あれ、もしかしてグーって私の地域だけだったのかな……って。
 あるよね、地元ルール。
 
「酷い嫌だやりたくないよー」
「みんな一緒だよぉ、観念しなって」

 うう、他人事だと思って時芽め……。
 
「あーあ……そういやもう一人って?」
「俺だ」
「委員長……!?」

 手を顔の横当たりまで上げたのは委員長でした。
 特にセットしているようには見えない黒髪にノンフレーム眼鏡。
 派手ではないけれど、顔のパーツとか身体つきとか全体的にスッと整っていて、しなやかな美形。
 
 制服はきちんと着こなした、絵に描いたようなこれぞ委員長! な人。
 
 名前は筧(かけい)くん。下の方は知らない。
 
 マジでか! 実は彼のこと一学期から気になってたんだよね。
 何であの人がクラス委員しないのかなってずっと思ってたんだよね。
 
 そうか二学期の方が出番多いから、スタンバッてたってわけか!
 
「……委員長? 何の話だ」
「あーぽいぽい」
「じゃああだ名は、かけいんちょ」
「お前等なぁ……」
 
 眉間に皺を寄せて怪訝そうにしている筧くんを他所に、基と時芽は私に同調、稔は呆れている。
 
「いや、まぁなんかよろしくね筧くん。とりあえず全部よろしく」

 てへ、と笑ってこれから降りかかるであろう仕事を全部押し付けてみたけど、筧くんは見逃してくれなかった。
 無言で見返される。
 時芽と同じかそれ以上ある長身で、遥か上から見下ろされてる。
 
 でもありありと「何言ってんだお前」って目線が訴えてるんだ。
 さすがだぜ、委員長! 怖い。
 面倒見良いけど、真面目にやらなきゃ容赦ないタイプだ。
 
 
 ああいいね、委員長は攻めだよね。不良と絡ませても好きだよ。
 


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