もうだからいっつも言ってるじゃない、どうして私に話してくれないかな、この人は!
 失念してた私も悪いよ? 悪いけどね?
 
 王道転校生の基本設定に、学園に来るまでは有名な不良チームの一員で喧嘩が滅法強く、名を馳せてたというものがあったんだった。
 だがしかし、ゴタゴタがあってみんなの前から姿を消さなくてはならなくなる。
 過去有りね、過去有り設定ね。
 
 逃げるように全寮制の学校に来てみれば、実は生徒会メンバーが敵チームの幹部共で、毎日バレないか冷や冷やしながら生活するが、結局は全員を魅了して事なきを得るという。
 
 ウチの生徒会長が不良チームとか有り得ないけど。
 柚谷先輩は絶対喧嘩とか出来ないよね、あの人血とか弱そうだよね。
 
 
 いやいや、今はワンコじゃなくて! 何だよ、稔はやっぱ二次元最適化キャラなんじゃない。
 何度も期待しては裏切られを繰り返してきたけども。とんだツンデレだわ。
 
 でももういいよ、相手は西さんでも東さんでもいい!
 
 さあさて、この間に挟まれたような素敵ポジションから観察させてもらおうじゃない。
 
 
 ――て。もしかして私って稔にバレてるの!? 私が堂島 香苗だって稔は気付いてて人質にしてるのかしら!?
 
 違ってても時間の問題なような気がするんですけどおおぉぉ!!
 
 正気に戻ったら、これ素敵どころか一番危険極まりない位置だった。
 
 後ろ振り向けない、後ろの正面が誰かなんて気付かなければ良かったよ!
 
「お前等とことん運悪いな」

 呑気に煙草に火を灯す西さん。
 どういう事ですかね。無理やり私連れてきといて何、守る気ないわけ!?
 怒るよ、喫煙は二十歳過ぎてからって法律で決まってるでしょうが!!
 
 東さんとショカさんはのびてる人達を足蹴にしながら何やら話し込んでる。
 え、ちょ、私に注目してもらっていいですかね。いや私っていうかこっちの緊迫した状況に。
 
 何だこの蔑ろにされ方。私ってば立場無さ過ぎじゃない? ここまで扱い酷いとは思って無かったよ、自分をちょっと過大評価てた。思い上がってた。
 
 視聴率で言ったらこれ恐怖の0%だよ、自分の数字の持って無さに絶望した!
 


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