基も正義感からくるやる気ではなく、遊び感覚ですよ。結局その程度ですよ。
 被害がみじんこなのでね。
 
「えーとポテトチップスはコンソメでぇ、じゃがりこはチーズ。カールはカレー」
「オリリンちょいそれはチョイスが偏り過ぎだよぉ、どうしてかっぱえびせんが無いのかな」
「カールはチーズだろ」
「ちょっと三人共! 基はもう放っておくとして、時芽のツッコミが更にツッコミ待ちってどうなの!? 稔はスルーしないの!」

 私の負担を考えてください。
 ポテチを奪い取って袋を開ける。
 
「甘い系! チョコが無いと死んじゃう! ていうかうまい棒たこ焼き味は何処!?」
「チョコ味じゃねぇのかよ。たこ焼き味ってマニアックだな」
「なにおう、真のマニアは納豆味に行くの!」
「そんなのあるんだぁー」

 ばりばり、もしゃもしゃと。
 あれ、何しに来たんだっけ。お菓子パーチーだっけ。
 
 放課後の教室の中、四人でお菓子広げてお菓子談義。

「ベビースターラーメンにさぁ、お湯かけたらチキンラーメンになるって小さい頃思わなかった?」
「ショックだよな、ふやけてべちゃべちゃになるし、味消えるし」
「かたミーもやったんだぁ」
「いた! じゃがりこが上あごに刺さった!」
「うわぁ地味に痛そ」

 塩やら何やら手がベタベタになってきたけど、誰一人ティッシュなんて思っていない事実に行き当たった。
 
「手ぇベタベタになっちゃった、基のシャツ貸して」
「おういいよ、洗って返してちょ。もう三日着っぱなしだったからちょうど良かった」
「えええー汚っ! 夏なのに。もう七月なのに!」
「うっそぴょーん」
「それこそが嘘くせぇよ」
「臭い臭い。漂うヘドロの臭い、ピュアどぶオリリン!」
「ピュアっぷりが何処にもないだろうが。謝れ、取り敢えず夢見る世界の少女達に謝っとけ」
「つかオレの机がカスまみれなんですけど、油ついた手で触るから指紋ぺったぺたなんですけど!」

 カスを床に払い落とす。
 あーもう私の机で食べるの止めれば良かった。隣の子の机にすれば良かった。

「お前等何やってんだ、ティッシュ持ってないならスナック菓子は食うんじゃねぇーっ!!」

 ぺたーんと小気味の良い音がしたと思ったら、机の中央に未開封のポケットティッシュが叩きつけられていた。
 
「あと、カスを下に落とすな! 掃除した奴等に申し訳ないと思わないのか!」

 四人揃ってご立腹の子を見上げていた。
 
 知らない子が、大変怒っていらっしゃる。


 脱色されつくした髪は立てられ、ライオンの鬣みたいだ。
 眉も整えて細いし、耳には無数のピアス。
 厳ついんだけども、背が低くて顔立ちが幼いから、頑張って悪ぶってるぜって感じで微笑ましい。
 不良に憧れる子の域を出ない感じが堪らないなぁ。
 
 しかも私達にかました説教何あれ、物凄く善い人の台詞だったんですけど。
 ティッシュを持ち歩く不良ってなんだ。
 
「もしかしてー、君がカナくんに嫌がらせしてた犯人?」
 
 冷静に、緊張感無く時芽が指摘した。
 
 すると急に顔色を悪くした不良(未)くん。
 分かり易い。
 
「おおテメェか。見ない顔だな、何かコイツに恨みでもあんのか、ああ?」

 ずいと不良くんに近づいて、メンチ切るのは基だ。
 そうね、本当は緩いキャラだから忘れちゃうよね。外見だけならよっぽど基の方が不良っぽいって。
 
 ほらほら犯人の方が怯んじゃってんじゃん。面白がってからに。
 にしても本当格好だけだな、不良くん。
 
「さっさと言えよ、何で堂島につまんねぇ嫌がらせしてんだ」
「……稔これじゃあどっちが苛めてんのか分かんないよ、基も」

 ぷるぷる震えて今にも泣き出しそうじゃん。
 被害者の私が可哀相とか思っちゃいそうだからやめてあげて。
 


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