失恋rhapsody


 色々と試みているものの、最初にやらかしたのが一番派手で印象に残っていて、衝撃的だった。

 最近のはもう尻つぼみっていうか、ネタ切れ感が伝わってきて正直、痛々しい。

 そんな無理してやることないよって優しく言ってあげたい。

 君は十分頑張ったよ。


 だからさ、そんな無理くり私苛め倒すの、止めて貰えないかな。


 風船爆弾が投下してきて以来、実はああいった現象がちまりちまりと私の身に降りかかっていたりする。

 カマ先輩の存在感の濃さのせいで、すっかり頭から抜けていたけれど、実は犯人は判らず終いだった。

 稔はカマ先輩を疑っている。
 でも違うと思うんだ。あんな堂々真っ向から勝負かけてくるような人が、陰からこそこそしみったれた嫌がらせしてくるだろうか。

 しかも和解したと言うか、誤解を解いたと言うか、兎に角もうちょっかい出してくる雰囲気じゃなかった。


 となれば他に稔に恋心を抱いている子がいる。

 私はまたも謂われのない嫉妬の対象にされてしまったようだ。

 元より私は男顔なわけでもガタイが良いわけでもない。
 だからこの学校の中では、とんでもなく女顔の生徒という認識だろう。

 つまり受け、別称をネコ。

 そう認識している人もいるだろう。

 カマ先輩も私が稔に色目を使ってるような事言ってたし。


 冗談じゃない!!
 誰も彼も何も分かっちゃいない!

 私と稔がくっついたって美味しくないだろうが。萌えが失われるだろうが。

 馬鹿め、正直に私に稔が好きなのだと言いにくれば場合によっては協力してやるってのに。
 ちょー協力しちゃうのに。

 勿論事細かに近況報告してもらうけどね。下世話な部分まで根掘り葉掘り。


 世の中って上手く行かないもんだよね。


 溜め息を吐き出すと、稔が眉間に皺を寄せた。これは気分を悪くしたんじゃなく、嫌がらせに私が参ってるんじゃないかって心配してる顔。

 大丈夫だよと肩を叩いたけど、表情は戻らなかった。


 面倒だなとは思う。でも意外と平気なものだ。

 初めの頃、私の机を倒して中身をぶちまけたりしてたらしいんだけど、私が登校する前にクラスの子が直してくれていたので全く気づかなかった。
 なんて事が3度ほとあって、漸くその事実に気付いた犯人は靴箱に的を絞り、しかし先を読んだ私が犯人に「学校のものを壊したら駄目だよ」という文面の手紙を入れておくと、きっちり翌日に「分かってるバカ!」と返事が送られて来てたり。


 なんだかそこまで悪い子とは思えないんだよね。変なとこ几帳面だし真面目。

 そんなこんなで行動を制限されまくって、こじんまりした嫌がらせに止まっている。
 机の中に放置してた教科書に「持って帰れ」とデカデカ書かれてたのには笑った。


 けどこれ以上続けば、稔や基がなぁー。
 友達思いなので私の代わりに怒ってくれるし、それは嬉しいけどあんま状況が宜しくない。

 あ、時芽は私以上に笑ってる。次何してくんのかなって楽しみにしてる。


 稔が好きでやってしまった行為のせいで、稔に嫌われるなんて馬鹿らしいじゃない。犯人はその辺考えてないのが一番駄目だと思うんだよね。

 それなら毎日お手製のお弁当持ってくるとかさぁ。
 もっとこう、アピールの仕方あんじゃん?
 効率良くゲッツ出来るよう努力しようぜ。やっぱ女の子の方がこういう所は強かなのかなぁ。

 
 そんなわけで。
 
「記念すべき第一回! チキチキ 犯人を捕まえろ、題して犯行現場を待ち伏せするぞ大作戦ー!」

 わーい。ネーミングセンスねぇー。
 やる気に満ち溢れた基と、面白がっている時芽と、自分のせいかもしれないという罪悪感から付き合っている稔と、被害者である私。
 


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