▼page.7 お姉ちゃんという生き物は、どこの家でもああいう感じなんだろうか。それとも堂島家の紗衣さんが変なんだろうか。 昨日送ったメール確認!! ともう一度メールを送った所、すぐさま着信が来た。そして第一声がこれだ。 『めんごめんご、えへ、やっちゃった』 舌でも出してテヘペロってしてそうなくらい軽いノリで謝られた。 何ってそりゃあ稔に恐ろしい内容の長文メールを送った件だよ。 そんな謝り方で許されるとでも思ってんのかぁーっ! 暫く私の愚痴を聞いてもらう事になったのは言うまでもない。 最終的には稔の包容力の大きさを二人で絶賛して終わったけどね。 マジで!? あんた友達一人失くしたかと思ったわ! さらっと怖い事言わないでよ! 私も思ったけど! わーわー電話越しに騒いでいるのを隣で稔がぼんやり眺めていたっていうね。 え、なに俺の名前出て来たけど? みたいな顔で見てたっていう。 そんな感じで午前中の間に昨日のゴタゴタをスッキリ解消させた私と稔は、現在リビングでテレビを観ている。 明日っから新学期だよ、嫌だねぇ、学校異世界に飛んでったりしないかなぁなんて若干現実逃避しつつ。 「今更なんだけど、女がこの学校にいて、しかもこうやって普通に一緒の部屋ってすごいよな」 稔が突然こんな事を言い出した。 「ほんっと今更だね」 寮でもそうだけど、私と稔の場合は長期休みの間も私の家でずっと一緒に生活してるしね。普通なら考えられないよね。恋人でもないのに、男女でこれだけ一緒っていうのは。 まぁそれだけ稔の中で私が女扱いされてないという事なんだろうね。そしてそれすらも今更過ぎる話だという、この残念なお知らせ。 しかし突然そんな事言い出すなんてどうしたんだろ。 「どしたの、急に我に返っちゃったの?」 「今まで俺が正気じゃなかったみたいな言い方すんじゃねぇよ」 ある意味、友達の私の為と言って、同い年の女の子と日々生活を共にしているっていうのは正気じゃないと思うよ。 稔の父である浪形さんによると、ただのヘタレの甲斐性なし。 私の父に言わせると、理性的。 という事らしい。私に言わせたら、女というカテゴリーに入れられてなかっただけだと思うんだ。 今になってしみじみ言うなんてさ。 別に私を男扱いしてたとかそういう事はないし、性別は重々承知してくれていたのは分かってる。 だけど、性別の差を意識されていたかというと、それはなかったんじゃないかな、と。 そんなのは今までこちらも気にしてはなかったんだけど、改めて言われるとちょっぴり心の奥底がモヤモヤするような気がしなくもない。 まぁそりゃそうだよね。だからこそ、女の子嫌いの稔と友達になれたんだし。と無理やり自分を納得させる。 「で、ほんとどしたの?」 「いや。さっきの『今寝室に下着部屋干ししてるから入らないで』ってのに衝撃受けた」 「べ、別にこれまでだって平気で下着その辺に干したりなんかしてなかったんだからね! 稔に見られてもいいやなんて、一度も思った事ないんだからね! 勘違いしないでよっ」 「キャラ設定に無理あるな、それ」 羞恥心とテンパりのせいで、妙にツンデレ口調になってしまったのだけど、あんまり稔の萌えツボは刺激されなかったようだ。 ドSのくせに。S属性の人はツンデレ好きだって思い込んでたんだけど、違うのかな。 いや、稔に苛められたい願望は私にはないけどね。 あのスイッチ入った稔は正直言って怖い。 結構簡単にポチッと入っちゃうから困るんだよ。ピタゴラスイッチ並みに難しければいいのに。 「今までも不用心な事はしてなかったけど、お前わざわざ入るなとか言って来た事なかっただろ」 「そう、だっけ?」 そうだったような? あんま記憶にない。 因みに稔の下着は私は触りたい放題です。うへへ すみません、変態的な気持ちで触った事は一度もないです。 家に居る時は私が洗濯して干して取り入れて畳んで、それで稔に渡してたからね。 前 | 次 戻 |