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「で? みんな大集合してどうしたんです? 恒例のカルタ大会ですか?」
「一度もそんなのやった事ないだろ」

 いや別にこのメンバーでっていう意味じゃなくて、お正月と言えばっていう意味で言ったんだけど。
 このメンバーで頭付き合せてカルタとか怖すぎる。
 
「カルタなんて時代遅れなもんすっかよ、おれ等は毎年モダンでおしゃれなウノ大会って決めてただろうが!」
「知るかぁっ!! ウノがモダンだともおしゃれだとも思った事もないわっ!!」

 むしろ今のご時世じゃアナログな遊びに分類されるでしょうよ!
 なんかちょっと普段言わないような単語を使ったからって得意顔してんじゃないよ、東さんのくせにー。
 
「どうして私呼ばれたんです?」

 毎年どうだったかは知らない。私別に年末年始にここに来たりしてなかったもの。昔姉に連れられて来た事はあるけど、一回きりだったしね。
 ほんとどうして呼ばれたんだか。不良グループというかそのOB会みたいな感じだけど。
 
「ああ、お披露目会しようと思ってなー。それにあいつが香苗も呼べってうっせぇし」
「おひろめ?」
「おう! 西峨にちっと遅れたけどおれもそろそろ足洗う事にしたんだ。だから次のリーダーのお披露目」
「えぇっ!?」
 
 思わず大きい声を出してしまった。東さんが引退? 東のリーダー辞めちゃうの?
 え、嘘……考えたことなかった。大学生にもなって不良グループとかワロスワロス、とずっとそんなポジションでいてくれるものだとばっかり……。
 ショカさんも東さんと同い年だけど、彼はいいのだ。
 
「後任のリーダーさんって私が知ってる人?」
「じゃねぇの? その辺はおれもよく分らんけど。なあ高鳥」

 急に話を振られたウタは、条件反射でぎっと東さんを睨んでからコクリと頷いた。
 ウタはもう会ったようだ。
 唯先輩は? と思って隣を見ると、彼は腕を組んで俯いていた。
 
「ちょっ!」

 ま、まさか! 寝ている!? と高鳴る鼓動を隠し切れないまま下から覗きこんでみると、赤茶の鋭い眼で睨まれた。
 ひっと悲鳴を上げたのは仕方がないのです。怖いのです。
 折角激レア寝顔ショットが拝めると思ったのにーっ。悔しい!
 
「あのー、で、おれいつになったら紹介されんの? 結構前からスタンバってたんだけど」

 唯先輩の寝顔が見れなくて地団太を踏んでいると、奥の部屋に繋がるドアが開いた。
 そこから入ってきたのは明るすぎる茶髪が目を引く、人を食ったような笑みを浮かべた
 
「あけおめー」

 おっきーだった。あれ本名なんて言うんだっけ。
 
「沖汐」

 ナイスなタイミングでウタが名前を呼んだお陰で思い出した。ぽんと手を叩くと、唯先輩と東さんに訝しげに眉を顰められたけど。
 
 おっきーこと沖汐くん。稔の友人にして私のトラウマ。どこのチームにも属さないなんちゃって不良なんかやってる変な人。
 なんというか雰囲気が独特で、大物なんだかただの空気読めない人なのかいまいち判断しにくい人なんだよね。
 唯先輩とは違った意味で最強かもしれない。
 



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