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「ああもう何でショカさんいないの!? 私の心の拠り所はいずこへ!?」
「そりゃ彼女んとこだろうよ」
「うわーん! ショカさんが人の物になっちゃったよー! 将来ショカさんと結婚するって誓ったのに! 勝手にだけど」
「えらい迷惑な誓いだな」

 ショカさん本人にも伝えた事のない私の一方的な気持ち。
 
 どんなに他の人に萌えたって、どんな設定にたぎったって、最終的に私の帰るところはショカさんだって決めてたのに。勝手にだけど。
 
「くそう、ショカさん優しいから泣き落としでどうにかなると思ってたんだけどなぁ」
「香苗がそんな打算的な事考えてたなんてショックだわ」
「東さんにどう思われようと痛くも痒くもないよ」
「なんでお前っておれにだけそんな冷たいの!?」

 何でだろうね?
 多分ショカさんとか姉とかの対応を見てたから、自然と同じようになっちゃったんだろうな。
 
 東さんは底抜けに陽気な、気のいいお兄さんだって思っていますけれどもね。
 
「唯先輩飲んでるジュースって何ですか?」
「レッドアイ」
「バーの飲み物の名前って、中身が不明なの多いですよね」

 さっきメニュー色々見てたんだけど、さっぱりどんな味か分かんなかった。
 可愛い名前多かったけどね。
 
「どんな味?」
「飲めば分かる」

 すっとグラスを差し出されたので、受け取ってみたものの味に想像がつかないから口をつけるのを躊躇う。
 
「美味しい?」
「さっさと飲め」
 
 焦れた唯先輩が無理やり私の口にグラスを押し付けてくる。
 
 うわやめ、なにす!
 
「うた、うたー!!」

 じたばたともがきながら名前を呼べば、忠犬うた公は呼ばれて飛び出て颯爽登場。
 
 しかし唯先輩をどうにかしてくれるのかと思いきや、ウタはソファからひょいと私を引き抜いた。
 いや、ひょいと持ち上げてくれたなら良かったんだけど、そんなに身長差があるわけじゃないので、実際にはズルズルと引きずられたわけで。
 
 何してくれてんねん。
 
 まぁ唯先輩からは逃げられたので大目にみてやろう。
 
「香苗、レッドアイはビールにトマトジュース混ぜたやつだよ」
「マジで!? 飲まなくて良かった!」

 中身が分かっても全く想像のつかない味だった!
 ビール飲んだことないし、トマトジュースも飲み物としてあんまり認識してない。
 
 この2つの個性が合うのか私には未知過ぎるわ。
 ビールっていうか、さっきも言ったけどアルコールフリーのやつだよ。
 
 ていうかウタは何で知ってんだ!?
 
「うう、ウタが不良になっちゃったよぅ」
「むしろ更生しただろ」

 あ、そうでした。無事北のチームから抜けられたようです、良かった良かった。
 これからウタの事は抜け忍って呼んでやろう。
 別に忍者じゃないけど、似たようなもんだよきっと。
 
「それにしても、この世界から足洗った人間が集まって、結局今までと大して変わらない光景ですよね」

 むしろ、今までは対立してたチームの先輩やらウタまで東の拠点にいちゃうんだから、余計に濃いわ。




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