片隅に押し込めた大罪


アカリはヴォルデモート卿から魔法を教わる了承を得た後、いつから始めるかと問われ「日本には『善は急げ』ということわざがあってですね、」とこれまた強引に説き伏せ、次の日から始めてもらうことになった。
−−−そして、翌日。

アカリにしては珍しく朝早くに目が覚めた。昨晩はドキドキしてしまってかなり遅くに寝たというのに。
楽しみすぎて眠れない、なんて高校生にもなって経験するとは思わなかった。いやしかし仕方ないだろう、誰でも魔法に憧れる時期があるものだ。わたしだって誰もが通る道である「厨ニ病」という一種の病気を患っていた時期もある。
それに自分が小さい頃、魔法などのファンタジーに憧れたものだ。現に幼女に戦う魔法少女なるものが支持されているのだから。
……脱線した、話を戻そう。

要するに、魔法を教わるのがものすごく楽しみなんだ。ヴォルデモート卿が部屋を訪ねてくる前にさっさと着替えてしまおうと考え、アカリはクローゼットの前に立った。

ちなみに、この部屋の隅にクローゼットがあり、中には服が5・6着入っている。この服はアカリのサイズにぴったりな上に毎日種類が変わる。恐らくアカリの気分に合わせて変えるのだろう。

魔法ってすごい。わたしの好みのものばかりなのだから。

モノトーンな服が多いのはアカリの好みか、それともヴォルデモートさんが好んでいるのか。まあモノトーン好きだからいいけど。

アカリは紺色のワンピースの裾を気にしつつ、ソファに座る。
時刻は8時。うわすごい早起きだ。いつもならまだグースカ寝てる。

こつこつと指先でテーブルをたたき、紅茶をくださいと誰もいない空間に声をかける。すると、突然テーブルにティーセットが出現した。

そうだ、せっかく勉強会みたいなのを開くんだから、魔法以外のことについても質問してみようかな。
例えば、今何月なのか。何年かを聞いたのはいいが何月何日なのかを聞いていなかった。あいにく部屋にカレンダーなるものは置いていない。
生地の薄い長袖のものを着ているが暑くもなく、寒くもなく。部屋に温度調節をするための機械なんかは付いてないし、魔法をかけてなければ春とか秋なんだろうけど。まあヴォルデモート卿に至ってそれはないだろう。

もう一つ、この屋敷は何なのか。
部屋から出ていないからこの屋敷に彼以外の人間が出入りしているのかわからない。しかも、窓から見える景色は緑一色だ。森の中に建てられているのだろうか。

最後に、わたしはどうやって呼び出されたのか。
異世界から人間を呼び寄せる、なんて魔法原作には出てこなかった。魔法というよりは呪いに近いのか。それとも何か道具でも使ったのか。

…………まあこんなものだろうか。質問したいものとしたらだいたいこの三つだ。異
世界に連れて来られてまともな説明も受けず軟禁に近しい状態でいるにしては我ながら少ないとは思うけども。

ーーーコンコン、と。
あれこれと考えを巡らせていたら扉をノックする音が響いた。
部屋に入るのを促す返事をすると、ドアノブが回ってヴォルデモート卿が入ってくる。

「おはようございます!」
「ああ。……随分と早起きだな。」

お前にしては、と鼻で笑うオプション付きで放たれた嫌味を素直に受ける。

「そんなこと自分でもわかってます!仕方ないじゃないですかー楽しみだったんですし」
「お前は子供か。……ああいや、子供だったな」

ああ言えばこう言う。ムッとしたもののこれ以上反論してても埒が明かないと判断しこちらから折れることにした。

「そんなことより!早く始めましょうよ、そのために早起きしたんですから!」
「まあそれもそうだな」

楽しみで仕方ない、とそわそわしているアカリを見て呆れたような顔をする彼。

………ん?そういえば、

「あっ、ヴォルデモート卿!杖!どうするんですか?」
「杖?」

そう、アカリは杖を持っていない。魔法を使うのに必要な杖を。
貸してもらえるのか、それとも今から買いに行くのか。
買いに行くのかな?彼が人に自分の物を貸すような人じゃあないだろうし。
そうだとしたら。わたしは初めて部屋の外に出ることになる。いや呼び出された時は地下牢みたいな所だったけど。

「もしかして買いに行くんですか?杖!」
「何を馬鹿なことを言っている」

元から高かったテンションが更に上がったアカリにヴォルデモート卿は冷たく言い捨てる。

………え?

「え、でも、魔法教えてもらうんですよね?杖要るんじゃ……」
「そんなもの初めから使わせる訳がないだろう」

ポカン、としているアカリを見据える彼。
うわあ、あの目は人を小馬鹿にする目だ……。

「お前はまず、これを理解するところから始めろ」

そう言い終えた瞬間、何もなかった空間からドサドサドサッと分厚い本が何冊も机に落ちてきた。
いつの間にかヴォルデモート卿が杖を持っているから彼が出したのだろう。

「これを、理解……?」

パラパラと適当に取った本を開いてみる。そこに書いてある複雑な数式やら図を目に入れた瞬間、愕然と瞳を見開いた。

「す、数式………!?なんで!?魔法になんで数式!?」

まさか魔法というファンタジーな力を学ぶのに数式を見ることになるとは思わなかった。
すっかり混乱してしまっているアカリを見て彼はやっぱりな、とでも言いたげにため息を吐く。

「これは『魔力使役のための基礎』だ。その名の通り魔力を魔法として使役する段階を説明している」
「これで、基礎………」

ただ杖を振って呪文を口ずさめばいいと思っていたのに。まさかの展開に目を白黒させたアカリはパラパラと本をめくる。

「最低でもここにある本を全て理解するまで、杖は使えないと思え」

ヴォルデモート卿は本の山の一冊を手に取り、ニヤリ、と意地の悪い笑みを浮かべた。
流石は闇の帝王様ゲス顔がよくお似合いですね!

「…………わかりましたよ」

まあ数式やら図を理解するのも必要なことなのだろう。仕方がない。
しかし、だ。わたしは読書をし始める前にしなければならないことがある。

「ヴォルデモート卿、本読むの始める前に色々と質問したいことがあるんですけどいいですか?」
「………ああ、まだ何の説明もしていなかったな。なんだ」

すんなりと質問を許可してくれたことに驚きつつ、あらかじめ考えていた質問を投げかける。

「今って何月何日ですか?」
「7月20日だ」

と、いうことは、多少誤差はあるものの半年違うだとかはないのか。というかやっぱり夏か、通りで外の緑が眩しいはずだ。

「夏?涼しいですね、これも魔法なんですか?」
「そうだ、屋敷全体に恒温呪文を欠けている」
「恒温呪文」
「その名の通り温度を一定に保つ呪文だ。これの反対呪文が変温呪文、周りの温度に合わせて温度を変える呪文だ」

おお、かなり詳しい説明をしてくれた。あれこれお勉強モード入ってる?

「では、反対呪文の意味を説明してみろ」
「はい!?」

投げかけられたまさかの無茶ぶり。
いやわたし基礎すら知らないのに。

「えーと、反対呪文は、ある呪文の反対の効果を持つ呪文?」
「50点だな。ある呪文と共に放った時相殺される呪文である、だ。」

いや細かいよ。あってるじゃん微妙にあってるじゃん正解でいいじゃん。
再びムッとしたアカリだったが、我慢我慢、と自分に言い聞かせた。

というかこの人かなり神経質そうだな……ストイックというか、完璧主義っぽい。完全にするまで何度でも繰り返しそう。
いや、うん、大丈夫でしょ。それより次!

「このお屋敷ってヴォルデモート卿のご自宅なんですか?」
「いや、自宅兼拠点候補、というべきだな」
「拠点?」

なんだ拠点って、かなり怪しい臭いがプンプンするんですけど?
訝しげな表情を浮かべるアカリに、ヴォルデモート卿は当然だろうというように言葉を続けた。

「ここを我らが闇の魔法使いの拠点とするということだ。そのうち死喰い人たちが出入りするようになる」
「嘘でしょ」

いけないいけない思わず敬語が外れてしまった。
いやでも、死喰い人が出入りすんの?ここに?え、わたしマグルじゃん危なくね?

「まだここには俺様しかいないがな。完全に準備を終えたら正式に拠点とする」
「へ、へえ…………」

もう何も言えない。やっぱり部屋から出ない方がいいな…。
はは、と乾いた笑いを漏らしたアカリは、そう胸に硬く誓った。

「準備って何するんですか?」
「だいたいは終わったが、まだ敷地の周りに保護呪文の類をかけ終わって居ない」
「保護呪文だけじゃないんですか?」
「保護呪文だけだと外からの攻撃に強いだけだ。敷地内に入られてしまっては面倒だからな、印を持つ者のみが門を出入りすることができる魔法をかける」

印、というと。あれか、闇の印か。死喰い人の左腕にある刺青のようなもの。読んでいた当時はICチップみたいだなと思ったのが記憶にある。

「じゃあわたしは出入りできないんですか?」
「今のままだとな」

なんと。わたしは今のままだと敷地の外に出られないらしい。

「今のまま、ってことは、」
「お前にも後々印を埋め込む」

うえええマジか……!印つけられる時ってすごい痛いんでしょ?ていうか左腕に刺青なんてあったら大変だよ半袖着れない!

「えっわたし印いらないです」
「何を言っている」
「いやだってあれですよね、骸骨と蛇モチーフの印ですよね?あんなの左腕にあったら半袖とか着れないし腕まくりも出来ないじゃないですかあとダサいし」
「なん、だと………?」

しまった最後にポロっと本音が。
口元を引き攣らせるヴォルデモート卿を見て、アカリは反射的に口を押さえた。

ええい仕方ない本音を言ってしまおうじゃないかこれを逃したら言い出せないだろうし!

「いやあ、だって陰鬱すぎじゃないですか?
ていうかその一人称『俺様』なのもかなりアレです」
「…………………」

ぶっちゃけすぎたのだろうか、ヴォルデモート卿が黙り込んだ。
このヴォルデモート卿っていうのも面倒くさいんだよなあ長いし噛みそうになる………。

「ねえヴォルデモート卿、『ヴォルデモート卿』って呼ぶの長いし面倒なので卿って呼んでもいいですか?」
「……………ああ」

あ、復活した。
ああでも、フォローは入れといた方がいいかな?

「あの、『ヴォルデモート』って『死への飛翔』って意味なんですよね?それはカッコいいと思いますよ」

厨二くさいけど。
恐らく口に出したらまた黙り込むか光線ぶっ放してくるかと思われる言葉は心の中でとどめておく。アカリなりの配慮だ。

「………まあ、そうだろうな。私が名付けたのだから」

あ、一人称『私』になった。

────この日以来、ヴォルデモート卿が『俺様』と口にすることは無かったのである────

「で、質問は以上か」
「あ、いやいや1番重要なこと聞いてないです!」

そう、それはわたしに関係ありすぎることで。

「わたし、なんで呼ばれたんですか」

わたしにとって、最大の謎。
どうして呼ばれたのか、どうやって呼んだのか、どうしてわたしだったのか。
恐らくそれを知るのには彼に話してもらうしか方法はない。

「………そうだな。その説明をしなければならないか」

彼はそう呟くと、おもむろに立ち上がり部屋の外に出ようとする。

「えっいや待ってくださいよどこ行くんですか」
「書庫だ、お前のことについて話すのに必要な本がある」

そこで待っていろ、とだけ言い残して今度こそ外に出てしまった。

「暇になっちゃった」

積み上げられた本のうち一冊を仕方なしに手に取る。かなりの厚さだ、読み終わるのだけでも時間がかかりそう。これを理解しなければならないのか。
まあ、読書が嫌いではないことが幸いだろう。読むのも速い方だしさっさと読み終わって理解し始める段階に入らねば。

黙々と読み進めていると、卿が帰ってきた。手には一冊の黒い本。かなりの厚さだ国語辞典くらいあるんじゃないか?

「すごい分厚いですね、それに古い」
 
机の上に置かれた真っ黒な本をしげしげと眺める。
それにしても変だ。何が変かというと『真っ黒』だからだ。表紙も裏表紙にも文字が書かれていない。
パラ、とこちらも黒色のページをめくってみても何も書かれていない。

「これ、どうやって読むんですか?」
「こうするんだ」

真っ黒な本に卿の白い手が乗せられる。
何かを呟くと、ジワジワとインクが浮き上がってくるように金色の文字が姿を現した。

「魔力を本に微量入れると鍵が開けられる」
「《七つの大罪》……?」

表紙に浮かび上がってきた題名であろう文字を声に出して読むと、触ってもいないページがめくられた。

「え、文字が、」

先ほどまでは真っ黒だったページに白い文字がビッシリと詰まっていた。

これ読むの大変そうだな、なんて考えていると。

『ーーーこれは、かの七人の魔術師の話ーーー』

突如頭の中に、声が響いてきた。
女性とも、子供とも、男性とも聞き取れる不思議な声は言葉を紡ぐ。
−−−本の内容を自動で読んでくれているのか。そう理解するのに時間はかからなかった。

『七つの大罪とは、七人の悪魔憑きの魔術師のことを指す異名である。
傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲と七つの罪源を元にした異名を持つ。
それぞれ、『ゴドリック・グリフィンドール』、『サラザール・スリザリン』、『アレクシス・アドヴァース』、『ヘルガ・ハッフルパフ』、『ロウェナ・レイブンクロー』、『イルバート・イグニア』、『クローディア・カエレス』である。
全員に共通するのは魔力が非常に強い魔術師、悪魔憑きでありそのため特別な能力を持つ。

悪魔憑きというのは本物の悪魔に取り憑かれているわけではなく、悪魔となんらかの縁がありそれぞれの能力や属性などを受け継いだ者という意味。呪いの一種。しかし、悪魔とコンタクトを取ることは可能である、という説もある。
悪魔憑きとして覚醒する時期は個人差があるが、生まれた時からというのはかなり稀。
それぞれ自分に憑いている悪魔の象徴である動物のシンボルが身体のどこかに印される。

『七つの大罪』は七人の異名の他に事件としても使われる。
990年、最後の悪魔憑きの覚醒を促される過程で能力が暴走。最後の1人が覚醒を終えたら儀式をしなければならないため集まっていた他の6人も共鳴する形で能力が暴走。周辺の村も全てが消え去り更地と化してしまった。
そしてゴドリック、サラザール、ヘルガ、ロウェナは戒めとして更地に自分達のように力が暴走しないよう魔法学校を設立する。これがホグワーツ魔法魔術学校である。

七つの大罪の能力などについて詳細はわかっていないが、それぞれが司る属性のみわかっている。
傲慢は光、嫉妬は水、憤怒は闇、怠惰は地、強欲は風、暴食は炎、色欲は星を司る。
創設者達以外の3人は姿を消し、未だに行方不明である。生死も確認できていない。』



ーーーそしてその声が止んだのと同時に、裏表紙がパタン、と閉じた。

長編ファンタジー小説を読み終わった気分だ。微かな頭痛を訴えるこめかみを指で揉み、ふう、と息を吐くとアカリは瞳を瞬かせた。

「………なんか、すごいですね」

そんな、月並みな言葉しか出て来なかった。自分の語彙力の無さが悔やまれる。
というか七つの大罪ってなんだ。そんなの原作には出て来なかった。しかも聞き覚えのない名前まで出てきていた気がする。

「…………………」

それに関しては二つほど、理由が考えられるだろう。
元々『七つの大罪』やアレクシス?さん達は存在していたが作中に出て来なかった説。
もう一つは、わたしがトリップした所為なのか未来や過去が変わってしまった説。

前者ならばとても嬉しいのだけど、そんな大事件ならばチラッとでも登場してもいいはずだ。創立者が悪魔憑き?だなんて描写も無かったし。
と、すると。考えられるのは、後者の説。
元々存在していなかった『わたし』がこの世界に現れたことによってこの世界の設定が付け足された?ということはわたしにとって『七つの大罪』は重要な名称だということになる。

「……『七つの大罪』のイルバート・イグニアから「お前にとっても世界にとっても有益な人間が手に入る」と言われお前を喚ぶ術を教わった」
「…………それで喚ばれたのが、わたし?」
「そうだ。まあ正確にはアドヴァースからの依頼でイグニアが私に教えた、ということになる」
「え、なんでアドヴァースさん?っていうか卿、七つの大罪と知り合いなんですか?」
「…あの男は、たまに意味のわからないことをする。
それに私はサラザール・スリザリンの末裔だからな、そもそもこの本は『七つの大罪』と血の繋がる者しか開けられないようになっている」
「なるほど」

そうだった、この人はサラザール・スリザリンの直系子孫なんだった。
アドヴァースさん意味不明だな…って、その人がわたしをトリップさせた原因?

どんな偉い人か知らないけど会えたら一回殴りたい。これぐらいは許されるでしょう、わたしの人生を変えたんだから。

………それにしても。
世界にとっても有益なモノって、どういうことだろう。それってわたしが未来を知ってるというのが有益ってこと?


「卿が教わった術って、どんなのなんです?『音無朱莉』という人間を召喚する、みたいな具体的なものなんですか?」
「いや、かなり抽象的で異世界から未来を知るために必要なものを召喚する術、というものだ。だからお前という人間が来ると確信していたわけではない。」
「はあ……それって儀式みたいなものですか?生贄的な」
「正解だ」
「えっ」

まさか、生贄って、人間を、

「そもそもこの術は今ではあいつらが唯一知る古の呪いのようなものだ。
お前を喚ぶのに人5人分の血を使って魔法陣を描いた。加えてとても稀少な魔法薬や薬草などが必要だった。準備にかなり手間取ったな」

5人分の血。それが意味するのは、


────私のために犠牲になった、5人の生贄。

「…………っ」

わたしのために、誰かが死んだ。わたしを呼ぶために。……………なるほど、散った五人の命の上でわたしは生きているのか。

「随分と落ち着いているな。お前のような女子供はすぐ喚き出すと思ったが」

チラ、とこちらに目線を向けた彼が淡々と口を開く。

自分でも、どうしてこんなに冷静なのかわからない。自分のために死んだ人間が5人もいる、と言われてもあまりピンと来ないからかもしれない。そもそも人間が死ぬ、だなんて小説や漫画、もしくはニュースぐらいでしか触れたことがない。他人事のように受け入れてしまったのだろう。
………………それでいい、深く考えるな。


それよりも、

「そういえばわたし自己紹介しましたっけ?」
「知らん」

話題を変えてしまおう。もう、この話はしたくない。

出会い頭が衝撃的すぎて自己紹介なんてしてる場合じゃなかったし、それからは無言で本を読む卿が怖くて言い出せなかったし。
うん、いい機会だ。

「えっとー、じゃあ改めまして。
音無朱莉、高校生やってま……した!
好きなものは甘味と動物、苦手なものは苦味と辛味、それと退屈なこと。
得意なことは料理です、これからどうぞよろしくお願いしますね」

そうして、相変わらず無表情な我らが帝王様であるヴォルデモートさんの手を取り、思いっきり振りながら握手をしてやった。


────彼の眉間に寄った皺なんて、自分の手の微かな震えなんて、わたしは知らない。

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