二世の契り | ナノ


monologue:1



今思えば、腑に落ちることが沢山あった。

家の前から去っていく後ろ姿。
病室から涙を拭って出てきたことや、親父の会話にあの人が増えたこと。
顔面蒼白のまま親父の名前を呼ぶ姿に、歓喜の中で膝を折り泣き崩れていたこと。
酒に酔い潰れた親父を運んで来たのも、蜜柑が家から消えたのも。

たぶん。

あの人は、親父のことが好きだったんだと思う。





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