上越上官誕生SS
※2009年11月15日に上越上官誕生祝いでmixiに上げたSSです。
「何これ」
目の前に差し出された白い物体に上越は思わず眉を潜める。
差し出さした張本人山形はさして気にすることもなく、受けとる様子のない上越の前に其れを置いた。
「レアチーズケーキ。上越は嫌いだがぁ?」
「いや、好き嫌いじゃなくて何でこのタイミングな訳?」
上官室には山形と上越の二人だけ。
しかも先程まで山形は一言もしゃべることなく何かよく判らない書籍を読んでいた。
それが徐に立ち上がったかと思うといきなり上越の目の前に例の物体を差し出してきたのだ。
1時間と15分後の劇的な変化に上越はため息をもらす。
「君って本当に唐突で読めな…何ちゃっかり自分のまで買ってきてんの!?」
「んまい」
色々脱力気味な上越を他所に山形は自分用であろうデザートを食し始めた。
キラキラと輝くチョコレートブラウンが次々と口許に運ばれていく。
その様子に更に頭も心も項垂れる。
「全く、今日に限ってなんで僕と君の二人な訳?」
この不思議ちゃんの相手に疲れ果て、東海道辺りに丸投げしたいのに生憎誰も居ない。
本当、肝心な時に居ないんだから…。
「皆は今準備中だっぺ。俺は足止め役」
「は?何の??」
意味不明な発言に上越の頭上にはてなマークが飛び交う中、山形はあっさりととんでもないことを口にした。
「上越の誕生日会だず」
見開いた瞳は一心に目の前の男を見ていた。
カレンダーを確認するまでもない。
鈍感ではない自覚のある上越は今日が自分にとってどんな日か充分理解していた。
しかし、
「…それ普通ばらす?」
少なからず他のメンバーはばらされたくはなかっただろうに、山形に足止めを頼むのは無謀な配役だと言わずにおれない。
じとっと睨む上越の視線を山形は真っ正面から受け止めた。
「上越を驚かす為さ騙すようなことは言わね、おまんは敏感だっから隠してもわかんべ」
真っ直ぐな言葉に一瞬言葉が詰まる。
辛うじて目線を逸らすことで体裁を守ってみたがこの男に通じたかどうか…。
本当に読めない、話す気だったのならなんでこんなものを用意してたんだか。
これじゃあ最初から丸分かりじゃないか。
ん?
「………えっまさかこれって口止め料!?」
「んだ。皆の前でビックリしてけろ」
「スプーン加えたまま満足げに頷かないでよ!こんなまどろっこしいことするだったら最初から黙ってればいいじゃないか!全く…」
「上越」
「何」
「誕生日おめでど」
「…君からだけじゃ満足しないんだから、僕は」
「もうすぐ長野が呼びに来るだず」
あぁきっと熱さの増した頬もこの男にはバレてしまっているんだろう。
微笑む山形にのせられたようで物凄く癪だがそこは妥協してやろう。
「口止め料には安いけど貰っといてあげるよ」
急いで駆けてくるだろう長野の足音を思い浮かべつつ、上越はレアチーズケーキに手を伸ばした。
HappyBirthday JYOETSU!
END
上越さん誕生日おめでとう!!
山形が上越を引き付けてる間に東北と九州が料理を作り、東海道と山陽が部屋を飾り付け、長野が摘まみ食いを狙う秋田を止めてます(笑)
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