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 ロスマリナス 07

その夜

本部の静まり返った食堂でケトルを火にかける

手元の調理台にはあの女から受け取ったドライハーブが並んでいた


種類なんてのは何がどれかも分かるはずもない
適当な容器にいくつか少なめに葉を入れ湯を注いだ



すっと爽やかで、すこし甘いような香りが鼻を掠める

…あの庭の匂いがした

あの女もこんな匂いがするのかと、頭の隅で思った






あれ!リヴァイ?


不意に静かな空間に場違いな明るい声が響く

カップを傾けながらその姿を確認した

ハンジか…

何飲んでるの、紅茶じゃない香りがするね
そう言いながらハンジはまだいくらかその中身が残る容器の中を確認する

その瞬間、いつもうるさいくらいのその声が少し静かになってから
ハーブだ、と少し不思議そうに小さく呟いた


こいつもこの葉の種類を知っているのかと意外に思う


どうしたのこれ、と振り返りながら聞くその姿から目を逸らし
ちょっとな、と短く返した


ハンジはそんなリヴァイを何か黙考するように見てから
私ももらおっと!といつも通り明るく容器を空いていたカップに傾けた


ハンジの瞳は
あのときのあの女のように、何の感情も映っていないように見えた


そのハーブの種類こそ分からないものの
少し固くなっていた肩の力が抜けた気がした


相変わらずあまり深くは寝られないが、それでもいつもより気分もマシになっていた


ハーブティーなんてものを口にするのは初めてだったが
…悪くない、と思った



  


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