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 ロスマリナス 06

その回の壁外調査も終わり全てが落ち着いてから
駐屯兵団本部をエルヴィン達と訪れる用があった

何人かの調査兵団が馬を駆け王都近くの駐屯兵団本部を目指す



久々にその道に差し掛かっていた

あの道を抜け、見知った道を駆ける



何故か…いる気がした



無意識に他の馬との距離を少し取っていた



庭先でまた植物の手入れをしている姿

何種類かの草花を育てているようだ
その横には屋根のある場所で草を逆さまに乾燥させているものもある


馬の速度を緩め少しだけ近づくと
自分の作った影がそいつにかかり、それに気付いたように顔を上げた


何の感情も映さない瞳
今日は晴れているからなのか薄いヘイゼルにも見える


馬を停めることもなく、ただゆっくりと歩を進める


その口元は今日は微笑まなかった


代わりに、静かに口を開く
その手にはいくつか摘み取ったばかりの植物が握られていた


…顔色が悪いですね
体調が悪いんですか、とその赤い唇が動く

ハーブは、どうですか
少しだけお茶にして飲むと落ち着きますよ

近所の人に頼まれてあげたりしてるんです

そう言いながら逆さまに括りつけてあった草をいくつか差し出してきた



こうして物を受け取るのは二度目だ

その見上げてくる瞳とハーブを掲げる手を見比べる

前を走る他の馬たちに目をやると、エルヴィンのその横顔が一瞬こちらを振り返った



愛想もない明るいヘイゼルの瞳
だが受け取るまでそうして動かないつもりだろう

それも何となく分かって
馬の背から手を伸ばしそのハーブを受け取る


女は手を降ろしてから満足したように少しだけ首を傾げ、
また感情の読めない薄い色の瞳がこちらを見つめた



…試してみよう、と一言落としてからエルヴィンたちを追った



  


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