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 ロスマリナス 09

その答えを聞いた後そいつは足元の籠を徐に拾い上げて
その中から何本かだけの茎を手に持った


では、また外に行くならこれだけ持って行ってください

…体調は整えないといけないですよ
あとの分は人に届ける予定があるので、
と今度は少し緑がかった色の瞳でこちらを見上げてきた


もう行かないと…、

その伸びやかな声が後ろの方を見やってからいつもと同じようにハーブを手に掲げる


…こんなやり取りはもう何度目になるのか


睨みつけるようにその瞳を見返してもそのツンとした表情は動じない


根負けし、諦めたようにその何本かを受け取った

それを確認してから、その女は以前保護した馬がいる厩舎の方へとハーブを入れた籠を手に向かっていく


…馬で行くのか


王都には店も多いし薬草も溢れている
わざわざこいつが届けることもないはずだが

人に頼まれているというそのハーブの量はいささか多めにも見える
万年食料も物資も足りていないのは王都とは逆方向の、地下街だ

そこへと続く暗い入り口はここからそう遠くない


……まさかとは思うが


そのまま立ち去ろうとしたはずが、気付けば厩舎へと向かうその後姿に向かって声を掛けていた


おい、とその後姿を馬の足で追って馬上から声を落とす


少し驚いた薄い色の瞳が肩越しに俺を振り返り、
柔らかい髪が一瞬遅れて背中に揺れる


思わずどこに届けに行くんだと無遠慮に聞いていた



  


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