△ スチータスII 04
「リヴァイはいないの?
からかってやろうと思ったのに。」
ふっと笑みがこぼれる。
取るに足らない会話。
ああ、本当に帰ってこられたんだな。
そのまま、私の歩みがあまりにも遅いこととハンジがあまり動かない方が良いと言うことで近くの木陰に腰を降ろして雑談を楽しんだ。
自然に行き着く話題はあの壁外調査のこと。
私たちが担当した地点はやはり前例にない程巨人が群がっていたらしい。
「おかしいよね…
前回の調査まではリヴァイの班が担当したところに集中していたんだ」
そう、巨人の行動には一貫性があるのかと議題になり、その結果リヴァイ班の担当地区となったのだ。
巨人が集まる箇所が移動したということ?
そして私たち調査兵団が辿り着いたすぐ後に出現した巨人達はそれまでどこにいたの?
「今までの巨人の行動理由がこれで覆るかもしれない…」
巨人と対峙すればいつだって情報不足。
いくら考えたって何一つ答えは出ない−−−。
「でっ」
急ににやりと表情を変えたハンジは顔を異様に近づけてくる。
「なに?」
「なに、じゃなくてぇ、リヴァイとはどうなの?
もう離れたくないって感じ?」
「ど、どうって…。」
私こそ聞きたい。
なんでいきなり彼がこんな風になっているのか…。
「すごい剣幕だったそうだよ。
エマの班が担当してた地区から信煙弾が上がったのを見て、リヴァイがぺトラの制止を振り切って走り出しちゃって!」
「えっ…」
「あれ、聞いてない?
リヴァイ班の所には巨人は一匹もいなかったんだって。
やっぱり巨人の行動には何か大きな規則性があるのかも知れない」
きょ、巨人があっちには一匹もいなかった…?
自分達の担当地区の巨人の調査をしろという作戦だったのに、巨人がいなければ話にならない。
そのまま信煙弾を見てリヴァイ班は私の班の担当地区に向かってくれた。
私達にとっては幸運だ。
「それでリヴァイ班が来てくれたんだね…」
私の返事を聞いてハンジが少し変な顔をした。
「違う違う!
リヴァイが班を置いていっちゃったんだよ。
一人で突っ走って、血だらけのエマと巨人を見つけちゃったもんだからさぁ。
恐ろしい位の速さで二匹の巨人を切り刻んだってエマの班員の報告書に書いてあったんだよ。
普通なら討伐数だけでいいのに」
本当に無事でよかった、といいながらバシバシと私の肩を叩くハンジを驚きながら見つめてしまう。