△ スチータス 11
彼の余った左手は、私の体を確かめるように骨を辿り、時々爪で甘く引っ掻いては力強く掴んでいく。
全身を征服していくようなその行動も、以前の彼には無かったものだ。
やはり、以前とはどこか違う。
誰かとの経験があなたを変えたの…?
そう思ってしまうと、さっきまで熱かった体も嘘のように固まってしまう。
「兵…リ、リヴァイ、やめ……っ!」
言いかけた時、ばたーん!と大きな音を立てて誰かが入ってきた。
「やっほーーー!お邪魔するよー!」
それに驚き、リヴァイの熱が離れる。
「あっちゃー、本当にお邪魔だった?ごめんごめーん」
少しも悪びれないこの口調は独特だ。
振り向いて、変わらない笑顔を確認して安堵した。
「ハンジ…」
「おい、メガネ…」
「ハーイエマ!背中はどお?
おっと、怒らないでよリヴァイ!無理強いは良くないよ?
エマだって泣いちゃってるじゃな〜い、可愛そうに」
「何の用だ、邪魔が目的なら本気で…」
そう言いかけてリヴァイがベッドを降りた時、ハンジはあわてて持っていた紙を突き出した。
「いやいや、邪魔する気なんて無いから!これを渡しに来ただけだよ!
しかも、エマが気が付いたらドクターを呼ぶ手筈だったろ?だめだぞ〜無理させたら!
やっとエマを手に入れられるからって〜」
ハンジはにやにやした笑みを浮かべると、じゃあ、ドクター呼んでくるから!と言い残して風のように部屋を出て行った。