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 スチータス 08

急いで踵を返し塔に戻ると、崩れかけた塔の下に大振りの巨人が陣取っていた。

その手には塔から落ちてしまったとみられる、こと切れた女の子の新兵の姿。


「あっ…!」


駆け付けようと踏み込んだが、目の前を別の巨人によって塞がれてしまった。
そしてまた、別の悲鳴が上がる。

お前の相手をしている時間なんて、いまは無いのに!
ぶん、と空振りする平手が頬をかする。
リヴァイの様に一匹を楽に倒せたら…!!

まるで規則性のない攻撃をかわしつつ、隙をみて首に切り込むとガスを最大出力にして塔を目指す。


失ってしまった兵士は三人。

一人の新兵を助けようと、二人も犠牲になってしまった。

このまま戦い続けるのは消耗戦だ。
班員の息も上がってきている。


「皆、私が道を開くから馬の準備をして!!」

「えっ…!」


戸惑う班員をよそに次の巨人に切り掛かる。


「早く!!」


時間を稼げればいいと、攻撃をかわしながら次のうなじを狙うが、腕も大分重くなってきた。

塔から納屋を確認すると全員準備は整ったようだ。


「とりあえず、味方に合流して!
リヴァイ班はこの先にいるはずだから!!」


「は、はい!班長も早く!!」


私の馬を最後列に並べて全員の馬が走り出した。
その背にのる兵士達を追って巨人の注意が逸れる。

首を捻ったその瞬間を狙う。

ザシュッ、と耳障りな音がする。

渾身の力を込めると、地響きを立てながら大振りの巨人が地に伏せた。

その背に乗ったまま衝撃に耐えて、弾んだ息を荒く吐く。

はっとして顔を上げると、小型の巨人が二匹、馬上の兵士に飛び付くところだった。



ーーーだめ…、もう殺さないで!



そう、叫んだかもしれない。

剣を振りかざす班員の姿も一瞬見えた。

疲弊していたはずの体は自分で認識する前に反応していた。
アンカーを発射すると同時に体は宙を舞い、回転しながらワイヤーを巻き取り二匹の巨人の体に同時に取り切りつける。
一歩、急所には届かないけれど、皆から引き離すことは出来た。


だが、その着地は考えておらず、重力に従って巨人を巻き込みながら地面に叩きつけられた。


視界が二転三転し、背中にものすごい衝撃を受けて私は意識を手放した。



  


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