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 スチータス 06

壁を出てからものの数分後。

隊列は段々と形状を広げていき、それぞれが目的岐路に入った。

私達が目指すのは出発した門から南西の方角に位置する煉瓦造りの塔だ。
最寄りの拠点だけあって、既に視認できる距離にある。

突き出た二本の尖塔は30m程で、辺りを見渡すことも可能だ。

私は先頭を切って班を誘導する。
物資を積んだ荷車を囲むように移動し、難なく目的地へと到着した。

辺りに巨人の気配はないが、油断は禁物。

二人の見張り役を塔の最上へと走らせ、残りの六人の部下と共に物資を運び込む。

敷地内の納屋に入り、埃を被った布をめくる。

その下からは、かなり前に補充されたという非常食や壊れた立体機動装置が顔を出した。


「げほっ、げほっ」

「すごい埃…というか、土と砂ですね」

「うん…この納屋は馬小屋も兼ねていたみたいだから、雨風が直接吹き込んでしまうみたいね。」

さあ早い所済ませてしまおう、と言い終わった時、かすかにズシンという地鳴りが聞こえた。

途端に体がぴり、と反応する。

ズン、とリズミカルな地響き。
この間髪いれない足音の重なり方……。


「二匹いる?」


ぽつりと自問自答する。

身を起こし、剣に手を掛けた。
それを見て新兵の二人は動揺したような声を出した。


「…えっ!?」

「班長、なにか聞こえましたか!?」

「私達には何も…!」


古株の班員達は私の耳が多少良い、と経験済みだ。
その内の一人が急いで塔の二人に声を張り上げる。


「おい、巨人は見えるか!?」


直ぐに、弾かれたような返答が降ってくる。


「…!
います!
小型の巨人が二匹…南西方向よりこちらに向かって来ます!距離、およそ1000!」


この拠点の周りには林がいくつも点在しているので見えにくいのだろう。

でも、おかしい。

この拠点は以前より巨人の目撃情報が皆無だった地域だ。
そこに、二匹も同時にこのタイミングであらわれるなんて。


「四人はここに残って、あとの二人は私と来て。」


塔を外側から周り、立体機動で塔に登る。

なるほど、小型だが凶暴そうだ。
ぐっと剣を握り直す。
新兵を不安にさせたくはない。

とその時、視界の端に影がいくつも現れ、遅れて重たい足音が幾度にも重なった。


「…な、にこれ…」


その光景を目にした者が全員一様に目を疑った。
初めの二匹を筆頭に、あちらこちらから巨人が集まってきたのだ。


数は優に十を超え。


計十三。

なに…!?
なんで?


疑問が次々に湧き出す頭を振って、現実を見据える。

巨人相手に理屈は通用しない。
理由なんて考えても答えは出ない。

こちらは私を含めて九名、うち二人が新兵。


「リンダ、緊急用の煙弾をお願い!」


同じく塔に立体機動で上がってきた部下が戸惑いながらも頷く。


パシュッ


ここはどう切り抜ければいい…!?
なにが正解!?



  


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