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唇を合わせながら、離れないようにと後頭部を引き寄せてくるリヴァイの手が愛おしい。


壁外調査後に古城で激しく彼を求めて以来、色々なことがあり、触れ合う時間が二人にはなかった。久しぶりに互いの体温を感じると、衝動が止まらなくなる。


荒々しく舌を捩じ込まれ、シャオは目を開け慌てて身を引こうとするが、ガッチリと掴まれているのでそれは出来ない。

逃げようとするシャオに気付き、リヴァイは閉じていた目を開けると、戸惑っている彼女と視線がぶつかる。



「…ダメです、兵長…」



「…何がダメなんだ?」



「だって、ここ、皆が寝てて…っ!」



最後まで言わせずに夜着の下に手を入れれば、シャオの身体は震えた。さらりと背中を撫でてくる武骨な手に、シャオの身体は一瞬にして熱を帯びる。



「…どうせあいつら全員知ってんだろ?ならいいじゃねえか」



「良くないです!まだ15歳なんですよ!!」



「もう15だろう?経験しててもおかしくねーだろ」




しれっとそう言い行為を続けようとするリヴァイを見てシャオは固まる。自分がこういったことを初めて経験したのはつい最近の事だ。因みにその相手は今目の前に居る。20歳までキスどころか異性と手を繋いだことすらなかったシャオにとって、15歳なら問題ないと言い切れるリヴァイが、自分とは別の次元から来た人間のように思えた。

そして、何故だか悔しい。モヤモヤする。



「…確かに兵長にとっては、そういうものかもしれませんけど」



…この人は私以外の女性とも、こんなことをしたことがあるんだ。それも、たくさん。あのピクシス司令が閉口するほど。


至近距離で見つめ合い、舌を合わせ、身体を触り、中で溶け合った。

私が知らない女達と。


明らかに機嫌を損ねたシャオを見つめ、リヴァイはブラジャーを外そうとしていた手を止める。



「…でも、エレン達はまだ子供だと思います…」



唇を尖らせ外方を向く彼女は不貞腐れており、リヴァイと目を合わせようとしない。



「…なに拗ねてんだよ」



「拗ねてません…」




顔を無理矢理此方側を向かせても、その瞳がリヴァイの目を映すことはない。

やはりコイツの頭の中が解る。
コイツは俺の過去に嫉妬している。

それが解ると笑いが込み上げてきたが、今笑えば行為を中断しなくてはならなくなりそうなので、リヴァイは彼女の耳元で甘く囁く。



「…俺にはお前だけだ、シャオ」



「…!嘘、つかないでください…」



「嘘じゃない。欲しいと思ったのはお前だけだ」




吐息を吹きかけながら耳の裏にねっとりと舌を這わせると、シャオがひくりと息を呑んだのを感じた。彼女の長い髪を両手でかき上げ、晒された細い首筋を下から上に舐めると、シャオは悩ましげな声を漏らす。


地下街出身のリヴァイが初めて女を知ったのは13歳の時で、相手は路地裏で声をかけてきた娼婦だった。何も解らず茫然としているリヴァイに無理矢理快楽を植え付け、夢中で腰を振っていたのを覚えている。ああ、これが交尾ってやつか、と女に事後処理をされながら呑気に思ったのだった。
性欲というものは生きていると自然に沸いてくるものであり、放っておくと溜まる一方なので吐き出さないとならない。

幸いリヴァイは容姿に恵まれていたので、女の方から声を掛けられることが多かった。近付いてくる女に、夜伽をさせた。都合よく性欲処理が出来るので、特に拒む理由もない。調査兵団に入団してからは夜の誘いが更に増えた。それでも一切部下に手を出さなかったところに、リヴァイの人柄が現れている。


それなのに、シャオには手を出してしまった。
理由なんてそれで充分だ。
無意識に求めてしまったのだから。




徐々に激しくなっていく愛撫にシャオは呼吸を乱していく。それでも意地を張っているのか、目蓋は固く閉じられたまま。絶対に目を合わせてやるもんか、と臍を曲げている。


構わずリヴァイは手を動かす。ブラジャーのホックを外し、両手で久しぶりの柔らかさを堪能する。
弱々しく抵抗を見せる彼女をベッドに押し倒し、腹の上に跨がった。彼は捕食者の目をしていた。

かじるように胸の飾りを虐めれば、彼女は小さく悲鳴を上げた。




「目を開けろ」



「………」



「酷くされてぇか?我慢できねぇくらいに」



「………っ、」



「このままあいつらの部屋に連れていって抱いてもいいが」




「な、んてこと言うんですか…!」




思わずパチリと目を開ければ、天井を背にいつも通りの顔で此方を見下ろすリヴァイと目が合う。
彼はシャオの脇腹を指で優しく撫でる。彼女はビクリと肢体を跳ねさせた。ここが彼女の性感体のひとつだということも知っている。



「俺の言うことを聞かねぇからだ」



「わ、たしは兵長の…玩具じゃありません…!」



「そうだな…お前は俺の伴侶になるんだろう?」



当たり前のようにそんなことを言うリヴァイを見て、鼻の奥がつんとした。戻れない過去に嫉妬をして困らせている自分を、それでもなお愛そうとしてくれる。顔を近付け瞼を閉じ、鼻の先に軽くキスを落とすリヴァイを見ていたら、涙の膜が目を覆った。



私は一生この人しか知らない。
この人だけでいい。
この人がいい。



大人しくなったシャオを満足げに眺め、リヴァイの指が彼女を惑わす。声を出さないように自身の指を噛んでいる姿が扇情的で、リヴァイの熱を昂らせる。



リヴァイは徐に服を脱ぎ、筋肉に覆われた硬い身体を白い肢体に重ねると、互いの体温を共有した。何度抱いても、この柔らかくて滑らかな肌の虜になる。彼女は男が理性を保っていられなくなる体をしていた。獣のような呼吸で彼女の体の柔らかい部分を揉みしだけば、シャオはぎゅっと目を閉じ必死で与えられる快感に耐えていた。



ーーー啼かせてえ。



ぞくりと背筋を走った本能に、逆らう術が見当たらない。



ついさっき彼女が見せた嫉妬心は女特有のものかと思っていた。と言うのも、今まで相手にした女はこぞってリヴァイの特別になりたがった。他に女はいるのか、今まで恋人はいたのか、それは誰か…そんな意味のないことばかりを知りたがり、見えない相手に勝手に嫉妬心を抱く。それを目にする度に女ってのは難儀な生き物だと思っていたが、シャオを手に入れてからは少なからずその気持ちが理解できるようになった。


シャオはモテるのだ。異様な程に。

エレンもシャオに惚れていたと言ってきたし、ジャンが紅茶を買ってきたのも恐らく同じ意味だろう。エルヴィンは何を考えているのか読めないが、気に入っているのは解る。…ミケの野郎がシャオを見ている目も優しかった。

リヴァイは大人なので表に出したり口にしたりはしないが、嫉妬心がゼロなわけではない。




「………」





ちらりと男子部屋の方向を見て、リヴァイはシャオの蜜口に指を差し入れた。

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