▼ シンデレラ -2-
「え?何!?」
シンデレラは思わず窓を開けました。
「なまえ!俺と舞踏会行こうぜ!!」
外に居たのは魔法使いでしたが、シンデレラは思わず反射的に窓を閉めてしまいました。
「なまえ!?何で閉めんだよ!?開けてくれって!!」
魔法使いの懇願に諦めたシンデレラは(窓を叩き割れては敵わないと)溜め息を一つ吐いて窓を開けようとしました。が、
「なまえが開けてくれねーから、勝手にお邪魔してるぜ?」
相手は魔法使い。窓の鍵など関係なく部屋に入って来てしまいました。
その勝手気ままな行動にシンデレラがキレてしまうのでした。
「あ、中森警部ですか?実は…むぐぅ!?」
魔法使いは急いでシンデレラの口を封じ、スマホの電源を切ってしまいました。
「テメー、何さらっと中森警部に電話しようとしてんだよ!?」
「え?だって快斗が好き勝手するから」
「てかなんで警部の番号なんか知ってんだよ!?」
「青子ちゃんに教えてもらったから?」
自分はシンデレラの番号を聞き出すのに苦労した魔法使いとしては、しれっと答えるシンデレラに愚痴の一つでも溢したいところですが、今はすることがあることを思い出しました。
「なまえ、舞踏会行こうぜ!」
「招待状園子に破られちゃったから無理」
シンデレラ即答です。
でも、ここでメゲルようでは魔法使いではありません。
「此処に破られた招待状があります」
「何であるの?あたし捨てたんだけど…」
「細かいことは気にしない気にしない!で、この破られた招待状を手のひらに入れて…1、2、3!」
何と招待状が綺麗に戻ってしまいました。
「さて、次はドレスだな。この日の為にちゃーんと準備してきたんだぜ?」
魔法使いはシンデレラの前に立つと、魔法の杖をかざして、また呪文を唱えました。
「瞳を閉じて下さい。次に貴女が瞳を開けた時にはシンデレラではなく、なまえ姫が立っています。1、2、3!」
一陣の風がシンデレラを纏い、それが消えるとシンデレラはいつものみすぼらしい姿ではなく、一国の姫と言っても過言ではないドレス姿になっていました。
もちろんヘアメイクにも、アクセサリーにも、抜かりはありません。
「んー!やっぱり俺の見立てに間違いはなかったな。俺好みのお姫様になったじゃねーか!」
魔法使いはいつもの5割り増しでテンションが上がってる模様です。
「さぁ、さっさと城へ行こうぜ?んで、さっさと硝子の靴落として来いよ。俺の出番はそっからなんだからな」
意味が分かってないシンデレラを連れて、魔法使いは自ら馬車を運転してシンデレラを舞踏会が開催されているお城へと連れて行きました。
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