26.写真を巡って
「なまえちゃん!なまえちゃん!届いたわよっ!!」
先日のお泊まり発言から早数日。
有希子さんとお出かけして、秋物の服も(また大量に)買って、一旦自分の家に置きに帰り、もうイベントなんてないだろうと安心しきっていた頃だった。
部活終わりor部活のない日の工藤くんとのんびりと本を読んでいるのが日課になってきた今日この頃。
この日も珍しく部活の休みだった工藤くんは家に居て、二人で新作のミステリー小説を読み耽っていると、有希子さんが飛び込んで来た。いや、マジで。
「なんだぁ?」
『有希子さん、そんなに慌てて一体何が届いたんですか?』
「なまえちゃんのお姫様写真がやっと届いたのよっ!!」
その単語を理解したと同時に興奮して赤くなってる有希子さんとは対照的に、あたしの顔はさぁあああっと血の気が引いていった。
いや、確かに望月さんは有希子さんに渡すとは言っていたけど、まさか郵送だったとは!!
「ね、なまえちゃん開けていい?いいわよね?開けるわよ?」
『あっ、ちょっと!有希子さん、待って下さい!!』
「えへ。もう開けちゃった」
いや、そんなとこでムダにハート飛ばさなくて良いですから、中身を見ないで下さいっ!
「キャーっ!!なまえちゃん、かっわいーっ!!!」
「どれどれ…」
『コラーっ!工藤くんまで見なくていいからっ!!』
全力で工藤くんの腕を引っ張ってるってのに、ビクともしないとか何でっ!?
こんなとこでもう男女の力の差が出てるの!?
それともあたしの力がないだけ?!
どっちでもいいから二人とも見るなーっ!!!
「みょうじも見てみろって。キレイに写ってるぜ?」
『絶対見ないーっ!!!』
「じゃあ、何の為にこんなに写真撮ったんだよ?」
『これはその…お姫様マジックに引っかかって気がついたら…』
「は?」
そんな恥ずかしい事実を言えるわけもなく、ごにょごにょと誤魔化していたら、工藤くんに聞き返された!
もう、一体何の罰ゲームよっ!!
『何でもないっ!いいからあたしは見ないのっ!工藤くんもこんなの見ちゃダメーっ!!』
「おいっ、コラ!何すんだよっ!!」
あたしの方が若干背が高いのをいいことに問答無用で目を塞いでやった。
どうだ!これで見れまいっ!!
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