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「まぁ、この写真素敵っ!見て見てなまえちゃん!なまえちゃんと朔夜くん恋人同士みたいじゃない!?」


え?っと力を抜いた途端に工藤くんがあたしから抜け出して、その素敵な写真とやらをじとーっと睨み付けていた。
…いや、その反応、全然素敵じゃないんじゃん。


「こいつ誰?」

『え?』

「誰なんだよっ!」


バンっと机に叩き付けられた写真を見てみると、最後の記念にとあたしがワガママを言って撮ってもらった望月さんとの一枚だった。


『望月朔夜さん』

「だから、そいつは誰なんだって聞いてんだよっ!」

『有希子さんに紹介してもらったヘアメイクさんだよ?』

「へ?」

『当日のヘアメイクしてくれた人で、次いでに言うなら、その写真以外の全部の写真撮ってくれた人』

「……」


さっきまで散々喚き散らしていた癖に急に静かになってしまった工藤くん。
一体どうしたって言うんだ?


「でも、何で見つめあって写真なんか…」

『え?』


よく見てみるとあたしと望月さんが手をとって見つめあって写真を撮ってるように見えなくもない。
あー、このことを聞いてたのか!


『最後のこれはセルフタイマーで撮った写真でね、望月さんが後ろに立ってあたしの手をとったとこであたしが振り向いちゃったからそんな風に見えるんじゃない?』

「……」


ちゃんと説明はしたんだけど、何やらまだ納得がいかないのか不満顔の工藤くん。
一体何が工藤くんの不機嫌スイッチを押しちゃったのか分かんないあたしは?マークが頭に浮かぶのみだ。


「ねぇ、新ちゃん。このなまえちゃん可愛いと思わない?」


さっきからずっと望月さんとの写真とにらめっこしてた工藤くんがやっとそっちに興味をそそられたらしい。
今のうちに望月さんとの写真は封筒に戻しておこうっと。


「…なぁ、みょうじ。この写真、貰ってもいいか?」

『え?どの写真か知らないけどいいよ?どうせ有希子さんの分もあるんだろうし』

「あら。バレてたの?」


だから、そこでイチイチ可愛い反応しなくていいですからっ!!
何か今日は癪に触るだけなんで!!


「次いでに言うと優作の分もあるのよね」

『はぁ!?』

「でも、なまえちゃんの封筒が一番分厚かったから、どうしても見たくなっちゃったの。ゴメンなさいね?」


いや、ゴメンなさいね?じゃなくてっ!
そんなムダなことしなかったら工藤くんが不機嫌メーター誤作動させることもなかったじゃないですかっ!!

という不満は胸の中に閉まって、そそくさと写真を片付ける。
よし、これでOK!

元々こんなムダなもんがあるからイケないんだ。


「なまえちゃんもちゃんと一通りは見てみるのよ?」


このままお蔵入りを決め込んでいたあたしはギクッとしたけど、


「せっかく朔夜くんがフルメイクからしてくれたんだから。ね?」


のトドメのお言葉に仕方なくイエスと返事をせざるを得なかった。



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