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翌朝、有希子さんと朝ご飯の支度をしていると案の定昨日のことを聞かれた。
やっぱり、この屋敷中に響いてたか。あたしの笑い声。


「なまえちゃんがあんな風に大きな声出すなんて思ってなかったから、あたしも優作もビックリしたのよ?」

『深夜に大声出しちゃってすみません。工藤くんのセリフにツボっちゃったら笑いが止まらなくなっちゃって…』

「あら?新ちゃんと一緒だったの?」

『え?はい。そうですけど?』


いや、一人であれだけ大声で笑ってたら、あたしただの危険人物じゃないですか!


「ふーん、そうなの。新ちゃんとねー」

『…有希子さん、何か誤解してません?』

「なぁーんにも、誤解なんてしてないわよ?」


ルンルンと鼻歌混じりに料理を仕上げ出した有希子さん。怪しい…。


「そうか。あの笑い声は新一が原因だったのか」

『先生!?いつの間にいらっしゃったんですか?!』


普段存在感アリアリなんですから、気配を絶って近づかないで下さい!心臓に悪いっ!


「それで、その会話の内容というのは何だったのかな?」

『そこは黙秘権を行使します』


ご本人たちを目の前に恥ずかしくて言えますかっ!!


「ふぁあー。はよー…」

「あら、新ちゃんがこの時間に起きてくるなんて珍しいわね。今日の部活って朝からだったかしら?」

「こんだけ騒がしくしてれば目も覚めるに決まってんだろーがっ!!」

「ほう。それはいいことを聞いた。なまえ君、残りの夏休み、家で過ごさないかい?新一がきちんと朝起きる習慣が身につくだろうし、何より我が家も賑やかになる」

『そうですねー。特に予定もないですし、それもいいですね』

「「「えっ?」」」


美形一家が三者三様にこちらをぱちくりと見つめてくる。あれ?今誘われたから返事をしたんだけど…。あれ?


『社交辞令だったんですか?すみません。空気読めなくて…。ちゃんと今日帰り』

「ううん!是非家に居て頂戴っ!」

『あれ?でも今…』

「いやぁ、あれだけ断られ続けていたのに誘った甲斐があったよ!」


え?そっちですか?


「な?だから言っただろ?」

『そうだね』


工藤くんと二人で内緒話をしてクスクスと笑いあってると、また有希子さんのニヤニヤモードが始まった。


「なぁに?朝から内緒話?」

『昨日の話の続きですよ。ね?工藤くん』

「そうそう。だから気にすんなって。それより飯ー。俺腹減った」

「じゃあ新ちゃんも運ぶの手伝って」

「へーい」

『これから毎日先生の美味しい珈琲が飲めるなんて楽しみですね』

「私も楽しみだよ。そうだ、また今度二人で出掛けないかい?」

『締め切り前のお仕事が終わったらいつでも誘って下さい』


にっこりと笑顔で返すと、先生はがっくりと肩を落として工藤邸にはあたしたち3人の笑い声が広がった。



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