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20.夏の一人旅


『え?ホンマにそっち遊びに行ってもええの?』

「当たり前やん!なまえちゃん、夏休みになったら遊びに来てくれる言うてたから、うち楽しみに待っとってんで?」


その夜、珍しく和葉ちゃんからメールじゃなく電話がかかってきたから、何だろう?と思ってたら大阪にはいつ来るの?っていう催促電話だった。


『せやったら、いつが都合がええ?和葉ちゃん合気道やってる言うてたやろ?忙しいんとちゃう?』

「そんなんなまえちゃんが来てくれるんやったらいつでも休むて!」


…いいのか?それで。


『せやなー。それやったら来週はどない?』

「ええよ!ほんで、何泊くらい出来るん?」

『んー、ホテル空いてるかも確認してみんとあかんから、』

「何言うてんの!うちん家に泊まったらええやん!」

『ええの!?』

「うち初めからそのつもりやってんもん!」

『そんなら2泊くらいしても構わへん?』

「うん!ほな、平次にも来週の予定聞いて良さそうなとこ分かったらメール入れるわ」

『楽しみにしてるわ』


ってことで、あたしの大阪行きが急遽決まった。

まぁ、することなくて宿題してたらほとんど終わっちゃって、残りの休みどうしようかと思ってたから、ちょうど良かったんだけどさ。


大阪かぁ。懐かしいな。
大学から関西に出て来て、そのまま神戸に居着いたんだけど、いつでも行けるやって結局数回しか大阪行ったことないんだよなぁ。
しかも決まって友だちとの買い物。

灯台もと暗しとはよく言ったもので、観光なんてしたことがない。
でも、あの二人がいるなら観光でも遊びに行くのでも賑やかになるだろうし、楽しみだな。

とか、考えてたらメールが来た。

明後日とかでも大丈夫?って、またえらく急だなぁとか思いつつも、別に予定も何もないあたしに断る理由なんかあるわけもなく、もちろん二つ返事でOKした。


『あ、先生。どうかされたんですか?』

「いや、なまえ君も夏休みだし、今度一緒に旅行でもどうかな?と思ってね」

『誘っていただけるのは嬉しいですけど、さすがに家族旅行の邪魔は出来ないですよ』

「それなら、ハワイの私の別荘にご招待っていうのはどうだい?」

『残念ながら、あたしがパスポートを持ってないので無理ですね。もう少し早くお誘いがあればパスポート作っておいたんですけど』

「そうか。それなら今回は諦めよう。パスポートは今度私の方で作ってなまえ君に渡すよ」


先生、本当に何でもアリですね…。

でもやっぱり夏休みって旅行シーズンなのかな?

工藤家で旅行とか長そうだし、しばらく先生と会えなくなるのかと思うとちょっと寂しかったりする。


いやいや、あたしも大阪行くんだし、楽しんでこよっと!




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