15.二人きりの帰り道
「なまえ、聞いてよ！新一ったらね」
朝一番で蘭があたしの席に来たかと思えば、ノロケ話でしたとさ。
何でも昨日突然家に来たかと思えば、延々とご両親の愚痴を溢して帰って行ったらしい。
「ね！？信じらんないでしょ！？」
『それってさー、理由はどうでもよくて、ただ単に蘭に会いたかっただけなんじゃないの？』
「えぇ！？」
『ホームズの話したら怒られるから、他のネタが思い付かなくて苦肉の策だったのかもよ？』
「えっ？えぇ？！」
まぁ蘭ったら真っ赤になっちゃって可愛いこと。
頬に両手を当てて、おろおろしてる蘭を可愛いなぁーって眺めていた。
だって、蘭、もう話せそうにないし。
結局そのまま蘭は自分の席へと戻って行って、今度は噂の工藤新一くんのご登場。え？何？またノロケ？
「昨日のあれなんだよ？」
『あれってどれ？』
「とりあえずムダに暗号使ってた手紙から」
『あの方が楽しくない？工藤くんの好きな暗号だし』
「あのなぁ、わざわざあんな手の込んだことしなくったって、普通にメールとかでいいじゃねーかよ！」
『だってあたし、工藤くんのアドレス知らないし』
「……。じゃあ普通に手紙で良かったじゃねーか」
『それだとあたしが怒られそうだったんだもん』
「自覚はあったんだな？」
『だからごめんなさいしたでしょ？』
「はぁ…まぁいいんだけどよ」
『うん。暗号で書いたらそれ解くのに頭使って、許してもらいやすいだろうなぁって思ったの』
「……」
あれ？工藤くん黙っちゃった。
しまった。余計なことまで言っちゃったかな？
「それはもういいからさ。今日一緒に帰んねぇか？」
『工藤くん部活は？』
「ある。から前みたいに見学するなりして待ってて欲しいんだけど」
『あたし帰る方向逆なんだけど』
「送ってくから気にすんなよ」
『……』
なんか今日の工藤くん強引だぞ？
一体何があったってんだ。
「それとも俺と帰るの嫌なのかよ？」
『は？』
「昨日父さんは送ってったんだろ？父さんはよくて俺はダメなのかよ？」
ちょっと眉をしかめて、傷ついたような顔をした工藤くんにあたしはあっさり敗北した。
その顔は反則だよ…
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