10.ミッションスタート!
「なまえー!」
『園子、どうしたの?』
園子はテンションが上がってるのか、いきなり抱きついて来てビックリした。
何だかこの前のお泊まり会以来、すごくなつかれた気がするんだけど、気のせいか?
いや、それが嫌とかじゃなくて。
素直に嬉しいけど、こんなに態度が変わるのについてけないというか、ねぇ?
「今度の日曜日にミッション開始よ!」
『何よ?ミッションって』
「サッカー部がうちで練習試合するらしいのよ!」
抱きついたまま顔をこっちに向けると急に内緒話トーンで話を始めた園子に合わせて、あたしも小声になる。
園子、ホントにやるつもりだったんだ…。
『あー、差し入れ大作戦?』
「そうそう!気合い入れて作りなさいよ?」
『んー…ねぇ、サッカーって何人でやるの?』
「は?」
『あたし、サッカーのルールも何にも知らないんだよね。サッカー部って何人くらいいるのかな?』
「別に全員分作る必要はないでしょ?新一君も一応レギュラーなんだしさ」
『それもそっか。了解、気合い入れて準備するわ』
「あたしも目当ての先輩いるし楽しみ二倍ってヤツよ!
じゃ、よろしくね!」
最後の言葉だけ普通に声を出して、園子は自分の席へと帰って行った。
「なまえちゃん、園子ちゃんと最近仲いいよね?」
『前から悪かったつもりはないわよ?』
「そうじゃなくて…なんか親密度が上がった?みたいな?」
そりゃー、そうだろう。
何てったって元々友だちだったのに、共犯者って関係がプラスされたんだから。
なんて、言うわけにもいかないので、明日香には笑顔でこう返した。
『きっとこの前園子の家に泊まって語り明かしたからよ』
「そっか!園子ちゃんと仲良くなってくれてあたしも嬉しいよ!」
もうこの子は何でこんなに可愛いんだろう!
元々、園子や蘭を紹介してくれたのも明日香だから余計に自分のことのように嬉しいんだと思う。
明日香の本当に嬉しそうな笑顔を見ながら、嘘じゃないけど本当のこと言えなくてごめんね。
と心の中だけで密かに謝った。
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