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待ち合わせの場所に着くと、そこだけスポットライトを浴びてるように一際目立ってる美人がいた。

さすが元女優。
どこでも舞台の上になるんだな!


「なまえちゃん!こっちこっち!」

『お待たせして申し訳ありません』

「いいのよ。あたしが楽しみにし過ぎて早く来ちゃっただけだから。だって、まだ約束の時間の30分前よ?」

『それでも有希子さんをお待たせしたのには変わりないじゃないですか。
こんな美人を待たせて変な男に絡まれでもしたらあたし先生に会わす顔がありません』

「なまえちゃんはホントに優作が好きなのね。少し妬けちゃうわ。
それにしても今日のなまえちゃんかっわい〜!」


あたしに抱きつくのがクセになってんじゃないかっていう有希子さんは、人の往来が多いこんな場所でもお構いなしにむぎゅう〜とあたしを抱き締めてきた。


『有希子さんとのデートなのでこのくらいは当然ですよ』

「それじゃあ行きましょうか。今日は優作にもなまえちゃんの為なら値段なんか気にしなくていいって言われてるからいっぱい買い物出来るわよ!」


ん?なんか今聞き捨てならない台詞が聞こえたような…?


「それにしてもなまえちゃんがこんなオシャレして来てくれるなんて!帰ったら優作に自慢しなくっちゃ!」


んー…有希子さんがこんなに楽しそうにしてるんだし、さっきの悪い予感は、気のせいだよね!




なんて思ったのが間違いだった!

なんか見るからに若者向け(だけど、明らかに高そう!)なお店に入ったかと思えば、品物を物色してはあたしに合わせて「これ似合う!」「あ、あっちのも可愛いわね!」とどんどん店員さんに渡していくからあたしの顔はどんどん青ざめていった。

いや、マジで…


『ゆ、有希子さん?あたしそんなに買えないですよ?』

「何言ってるの!ぜーんぶ優作のおごりだから気にしなくていいのよ?」

『いや、気にしますから!全力で気にしますから!!』


あたしの叫びを無視して、有希子さんは服選びを再開してしまった。


え?ちょっと待って!

あたし喫茶店のお金も先生に払わさせてるのに、服まで買ってもらうだと?
しかもこんな高そうな服を!?


マジで待って!
あたし先生に返し切れない恩がどんどん溜まって行くんですけど!?




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