結局、あの後もう一度お店を変えても同じことをやってくれた暴走する有希子さんをあたしは止めることが出来なかった。
先生、本当にすみません!
やっぱり有希子さんには優作先生というストッパーが必要なようだ。
先生、あたしには有希子さんを止めることは不可能です!!
と、そんな慌ただしい午前中の買い物を終えて、今はお昼までもご馳走になってしまってます…。
先生、何度目か分からないですけど、本当に申し訳ありません!
「なまえちゃん可愛いから、服選びも楽しかったわ!」
『そーですか』
にこにこにこにこと効果音が付きそうなほどにこやかに笑ってらっしゃる有希子さん。
えぇ、そりゃあーもう本当に楽しそうです。
「なまえちゃん、キレイな長い髪してるし。その色染めてるの?」
『え?あぁ…髪の色が明るいので染めてると思われがちなんですが地毛ですよ』
そういえば昔、瑠架にも言われたな。
綺麗なハチミツ色で羨ましいって。
何だそれ?美味しそうな色に見えるのか?って聞いたら、艶があって羨ましいって意味だって言われたんだっけ。
『あ、髪といえば。有希子さん、どこかオススメの美容院とかありませんか?』
「え!?切っちゃうの?!」
『そうじゃなくて…最近前髪伸びてきたなって思って。長い髪の方が落ち着くので、ばっさり切るつもりはないですけど、それでも毛先くらいは整えたいですし』
「それじゃあ、お昼は美容院に行く?」
『え?予約とかしないで大丈夫なんですか?』
「大丈夫よ!今から電話してくるからちょっと待っててね」
そう言いながらウインクを残して、有希子さんは席を外した。
日本人なのに自然とウインクが出来るってスゴいな。
ホントに有希子さんは何をやっても様になる。
食後の珈琲を飲みながら、有希子さんの帰りをのんびりと待つことにした。
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