特別なお守り
インペルダウンを一緒に脱獄してきたあなたのなまえ。
俺様のことを好きだ、とか言っていつもベタベタしてたくせに海軍本部に向かう船に乗ってから俺じゃなくMr.3にベットリだ。まァベタベタされてうんざりだったし良いんだけどよォ…。
「ねぇねぇギャルディーノ!」
「どうしたガネ?」
あなたのなまえの呼び掛けに反応して傍に寄るMr.3。
オイ、Mr.3…近ぇだろ…。そもそも何で『Mr.3』じゃなくて『ギャルディーノ』だ!
クソッ…何かムシャクシャするな、本当。
しばらくすると、あなたのなまえが船員を全員呼び出した。
ざわつく皆。
その中心で笑顔のあなたのなまえとMr.3。
まさか二人、付き合った…とか言わねェよな…?
そんなことを考えて何焦ってんだ、と自分を笑った。
まさか、な。
「みんな!あのね?これから物凄い戦いが始まる…そこで、私…ギャルディーノと」
まさか…本当に付き合うのかァ?!
手に汗を握った。
「お守り作ったの!」
皆が驚く中、俺は安心して掌の力を緩めた。
何で俺はこんなことで緊張してんだ?
「お守りは蝋燭で出来てて、ギャルディーノに手伝ってもらったの!そこに私の能力でコーティングしたから熱にも強い、と思う」
へぇ、あなたのなまえのやつがMr.3にベットリだったのはお守りを作る為か。
「これはあなたのなまえの顔になっててペンダントになってるガネ」
「へへ、じゃあ配るね?…はい、ルフィ!」
「ニシシ、ありがとなっ!あなたのなまえ!」
「はい、ジンベエ!」
「おぉ、すまんのぅ」
「はい、イワちゃん!あとこれ、カニちゃんの分も!」
「これで無敵、間違いナッシブルね!イナズマには後で渡しとくわ!」
「はい、壱さん!」
「…あぁ、」
「はい、クロコダイル!」
「魔除けにはなりそうだな」
「はい、脱獄囚のみんな!」
「俺たちにまで…!」
「あなたのなまえちゃん、ありがとー!!」
「そして…はい、ギャルディーノにも!」
「いつの間に?あなたのなまえ、ありがとう…嬉しいガネ!」
みんな喜びながら首に下げていく。
俺にはねェのかよ…。
「あなたのなまえ…俺には?」
「バギー…欲しかったの?」
「なっ!!べ、別に欲しい訳じゃねェ!」
「ふーん、バギーにもちゃんとあるよ?」
なんだ…あるのか、何て少しホッとした。
「バギーのは…熱にも弱いかもしれないしすぐ壊れるかも…」
それがお守りかァ?
「でもね、バギーのことちゃんと守るよ?」
「で、そのお守りは何処だァ?」
「…私自身がお守りだよっ!」
笑顔でそんなこと言われてトクンと胸が跳ねた。
あぁ…やっと分かった。いや、分かってたが信じたくなかったのかもな…。
俺はあなたのなまえのことが…。
「ハデアホッ」
あなたのなまえのお守りが俺なんだろ?
「…駄目、かな?」
「俺は…お守りをずっと持っとく主義でなァ…もう離さねェぞ?」
「!…うん!!」
俺だけのお守り(早くしないと囚人達に取られるガネ)
(るせェ!誰にも譲らねェよ!)
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