01



※深夜、ウェスカーから逃げ切った設定です。
※後半セクシャル
※中途半端エンド
―――――――――――


『早くここを出ないとっ…!!』

「急にどうしたの名前?」

翌日名前は早急に退院できるよう家族に訴えた。取り乱した彼女の声量は増し、言い合いとも取れる室内の会話は通路にも丸聞こえ、それを聞きつけた婦長が心配して駆けつけるまで騒動は発展した。


『私はもう大丈夫ですので退院させてください!』

「落ち着いてください」

『この通り元気になりましたからっ…!』

「先生の許可が下りなければ退院することはできません」

『お願いします!!』


話しても退院したいの一点張りの名前に婦長は困り果てた様子であったが、ちょうどいいタイミングで別のナースが扉を開けて入ってきた。

「苗字さん、診察の時間ですよ。…移動、でき…ますか?」

すぐに取り込み中だと察して部屋を出ようとしたナースであったが、婦長は敢えて引き留めた。


「名前さん、焦らなくてもこれからすぐに先生にお会いできますから、まずはこのことをお話して、退院のことは相談してから考えましょう」

『……っ』


仕方ない、気の落ち着かない名前はなんとか話をつけようとナースに張り付くようにして診察室へ向かった。


待合室にいる人々を抜けて案内された角部屋の診察室、『失礼します』と言ってスライド式のドアを軽く引いて中に入る。緊張の面持ちで入った名前の顔がより強張りひきつったのは言うまでもない。理由は読者も想像通り、似合わぬ眩しい白のワイシャツ、長い脚にはスラックス、一通りの格好をしていても脚を組み、指先を組み、その堂々足る風格は医者というより科学者か。不意打ちゆえ、男と目が合って動けなくなっていた名前は意識が返ってくると同時、振り向き様真後ろのドアへと手を掛けた。しかし、クンと一瞬のうちに後ろへ体は引かれ、握り締める前に触れた指先は簡単にはがれてしまう。
体が反転し、思わず見上げたウェスカーの腕は振り上げられていた。


―――――パンッ…!!


乾いた音が部屋に響く、事の予測ができようとも避けようのない彼の平手打ちをまともに食らった名前は、衝撃に耐えられるわけもなく吹き飛ぶように床へ崩れた。

『―――あ゛っ!?』

倒れて早々の彼女の頭部に激痛が走る、ウェスカーは名前の髪を鷲掴みにして拾い上げると、フラつく彼女を強引に動かし後頭部から書類等ある本棚に潰す勢いで叩き付けた。揺れる棚から本やファイルがバサバサ落ちる。文字に起こせば長いけれど、二人が会ってからこの間実に数秒しか経っていない。


「どうしようもないクズめ、俺に構って欲しかったならもっと別の方法を考え付かなかったのか?」

軽い脳震盪に視界がブレてしっかり立てない、そんな名前を追い詰めるように股を男の膝が軽く蹴った。奇声が上がって刺激に対応できない膝は崩れようとするが、緩められることのない手は髪を掴んで離さない。


「もしこれがお決まりの逃走劇であったとしたらこの場でお前を縊らせておしまいだが、今回はそうもいかん」

『む――――っぅう!?』

開きかけた名前の口に人差し指、中指、薬指が滑り込む。

「無駄口は無しだ」

三本とも根元まで押し込み喉元を抉るように撫でる、指を駆使して舌根を集中的に弄りまわす。
この耐え難い苦痛に涙は込み上げ吐き気は促され、名前は腕に掴みかかったが力及ばず、ならば食いちぎろうとしたが前に同じく、容量を越えて顎が外れそうとも見下される他ない。

「…どうして俺がこんなに怒っているのか、お前ならわかるだろうに……」

『……っ、っぅ』


―――サンプルをどこへやった…?


全28ページ

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