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お茶を入れろとねだったのが十数分前、折れたのはいつも通りギルバートで、この上なく大きく深い溜息を吐きながら部屋を出て行ったのが10分前。ブレイクが“悪戯”を仕掛け終わったのが5分前で、机の下に隠れてギルバートを待っているのが現在。
まだ来ないかなぁ、と思ったところでターゲットの足音。

「喜んでくれますかネ、私の“悪戯”」

ガチャリとドアが開いて現れた長身をこっそりと見る。
「おいブレイク・・・茶を入れろと言ったのはお前だろ!どこに隠れてるんだ!!」
ったくいつもいつも隙あらばサボりやがって・・・なんて言っている声にクスリと聞こえないよう笑いを漏らす。
早く見つけてくれないだろうか。机の上の“悪戯”に。
「ん?・・・あれ?」
あぁ、やっと気づいた。
カチャリとトレイを置く音の後に、かさかさと紙をいじる音。

「!?」

驚いた顔がすぐに脳裏に浮かんだが、やはり実物を見るのが一番なので。

「お呼びですカ?ギルバート様」

机の下から這い出てにんまり笑ってそう言ってやったら、少し顔を赤くしたギルバートが唖然とした顔をしていた。
あまりに予想通りの顔で、クスクスと笑う。


「いつも頑張ってる君へのささやかなプレゼントですヨ」

「お、おま・・・」

執務机の上にあったのは、処理済みの書類の山と一枚の落書きされた書類。

『街に出ませんか?』

「―――書類に落書きするな、ブレイク」
「折角やってあげたのにそんなこと言っちゃって。素直じゃないですネェ」
「折角も何もお前がもっと早く本気を出せば良かっただけの話だろ!!・・・・・・まぁ、でも、一応は、・・・」
「一応は?」
ニヤニヤしながら先を促せば更に顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
こういうところはいつまでも子どもだなぁ、なんて考えていたら聞こえた小さな声。

「・・・ぁりがとう」

彼がそっぽを向いていてくれて助かった。

どういたしまして、と言った自分の顔はきっと、かつてない程に緩みきっていただろうから。


“落書き”

(君と一緒に散歩できるなら、たまに仕事頑張るのも悪くないですネ)





でもたまにしか頑張らないブレイク(笑)
 


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