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「どうしてお前は私を殺さないんだ?」
突然アリスがそう訊いてきた。
「どうしてって・・・それはこっちのセリフだバカウサギ。何でそんなこと訊いてくる?」
「いや・・・」
逡巡する素振りを見せた後、赤紫の瞳に少しの戸惑いを浮かべてギルバートに向き直る。

「お前はオズが大事なんだろう?」

先程の質問と、今の言葉。
つまりは「オズ以外は大事ではないんだろう?」という意味で。

苛立ったから焦げ茶の小さな頭をがしがしとかき回した。
「なッ、何をするヘタレワカメ!!」
「黙れバカウサギ。大人しく撫でられてろ」
「これは撫でるとは言わんだろう!!それよりも私の質問に答えろ!!」
質問?答え?

いつだったかお前が言ったんじゃないか

自分たちは“仲間”だと

「・・・仲間を殺す奴がどこにいるんだ」

今更なことを訊くな。
顔を背けてそう言って更にぐしゃぐしゃにしていたら、鳩尾にタックルを食らった。

否、正確に言うと。
「・・・何抱きついてんだバカウサギ」
「おッ、お前がそんな顔をしているからだ!!伝染るだろう!!」
そんな顔ってどんな顔だ、とは訊かない。
頬がさっきから熱いのは知ってる。
正直アリスの質問への答えも、よくはぐらかさないで言えたものだと自分を褒めてやりたい。
「・・・お前も耳が赤いぞ」
「うううううるさいワカメのくせに!!」
「ワカメのくせにってどういう意味だバカウサギ!!」
「ワカメは顔が赤くなったりしない!!」
「だから俺はワカメじゃねえって言ってんだろうが!!」
「黙れワカメワカメワカメー!!!」
「ぐっふッ」
腹に頭がのめり込んだ。ちょっといや大分痛い。
「お前俺を殺す気かッ」
「うるさい一度死んでこい!!」
「おい本気で苦しッ・・・」
がくりと力が抜ける。
「ん?おいワカメ!!しっかりしろ!!」

バカウサギの声が何か遠くで聞こえるけど無視してやる。
あんな言い方することないだろ、確かにオズは大事だが他にも大切な存在くらいいるんだ。

「・・・お前だって大事なんだよ」

言ってやったら、また鳩尾に頭を擦り付けてきた。


“今更”

(そんなこと訊くな、バカ)




この2人の絡みは可愛いくて好きです
 


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