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ほぼ会話文




「あ、ギルバート君。これお願いしますネ」
「了解・・・ってお前もちゃんと仕事しろ!!」
「えー?」
「えーじゃない!」
あぁ、まただ。
「・・・ギル」
「オズ?どうした?」
「んーん。お茶飲みたいなーって思っただけ」
「分かった、入れてくる」
ほら。
「・・・オズ?俺何かしたか・・・?」
「どうして?」
「いや、その・・・さっきから難しい顔してるから」
「え、そう?やだなぁ、どっかの誰かの所為でギルみたいに眉間のシワが消えなくなったら魅力半減だよ」
「俺みたいにって主に俺の眉間のシワを増やしてるのはお前らだろ!」
「あっれそんな言い方して良いの?」
「ッ!」
「嘘嘘。取り敢えず紅茶入れてきてよ」
「あ、ああ・・・?」

首を傾げながらギルバートが部屋から出て行き、バタンとドアが閉まったところで、オズはブレイクに満面の笑顔を向けた。

「俺ね、ブレイク嫌い」

「アラまた随分正直ですネェ。突然どうしました?」
だってさぁ、と言って細めた翠は笑っていなかった。

「ギルはブレイクに“了解”って言うのに、俺には言わないんだよ?だから嫌い」

“了解”は自分と同等またはそれ以下の相手に対して使うのが正確な使い方。主人と従者という身分で言えば、ギルバートは正しい。しかし、単なる“主人と従者”だったのは10年前までで、今のギルバートは確かにオズの従者であれど、同じ公爵家の人間という意味ではオズと対等だ。それでも彼はオズが主であることを優先する。それが嬉しくもあり、もどかしくも嫌でもある。
オズはギルバートが好きだ。だから対等でいたいのに、彼の性格がそれを邪魔する。

「じゃあ私も言いますネ。私も君が嫌いデス」

「何で?」
言いたいことなんか分かってる。
結局、無い物ねだりだということも。

「ギルバート君は私が何言ったって君を優先するでショウ?私にはそれが羨ましいのに、君はそれを嫌だと言う。だから私も、君が嫌いデス」

言い切ってから2人で嗤った。

「何でこうなるかなぁ?」
「さァ。ギルバート君だからじゃないですかネェ」
彼、何てったって鈍いですから。
「あはは、そうかも」

渡さないよ。
こちらも譲る気なんかさらっさらありませんヨ。

甘い香りがここまで届く。
鈍感な彼はキッチンできっと茶菓子を用意しているのだろう。
2人の恋敵はニヤリと笑って、戻ってくる彼を口説く方法を考えていた。


“了解”

(俺にも言って)
(どうか私だけに)

  


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